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見沼代用水路の環境整備

      さいたま市見沼区膝子に生物保全施設を作

見沼代用水土地改良区 管理課   関 根 政 弘

 Webアドレス http://www.minuma-daiyosui-lid.or.jp

 
 

見沼代用水東縁用水路

現在の見沼代用水路は、昭和55年より始まった埼玉合口二期事業により、合理的な三面コンクリート水路に整備されました。

 この事業は、農業用水を安定的に供給すると共に、不足している水道用水を確保する事を目的として実施され、農業用水から約100万人相当の水道用水が確保されました。

 しかし、施設は改善されても、稲刈りが終わった後は水の流れが無く、底がコンクリートのため、用水路の中で生き物が生きていくのが難しい環境になりましたが、平成5年より始まった冬期試験通水によって、徐々に水路内の環境が改善され始め、調査した

ところ、タナゴやヨシノボリなどの十数種類の魚類や甲殻類、貝類の生息が確認できました

このため、土地改良施設の一部を利用して、埼玉県農林総合研究センターの協力を得て生物保全施設を作り、どのような生き物が生息するのか調査を継続して行い、三面コンクリート用水路における生態系保全の可能性を確かめていきたいと考えています。

≪整備した場所≫

 整備した場所は、さいたま市見沼区大字膝子地内にある見沼代用水東縁用水路です。

 ここには、見沼代用水を開削した井澤弥惣兵衛為永が勧請し、用水の潤沢と平安を祈念した弁財天があります。

   

見沼弁財天(溜井弁財天)

    

施設作りの様子

≪製作時の状況≫

三面コンクリート用水路では、魚などの水生生物の隠れ場や、産卵場所がないため、土が流失しない入れ物を作り、ガマやマコモを植え、その脇にU字溝を伏せて置き、魚の隠れ場を作りました

   

整備した生物保全施設

水路底に樹脂製のマットを敷き、水草のエビモを定植し、魚やヤゴなどが住めるようにしました。

金属製の網の中に木材の端材や土を入れ、ヤナギを植裁し、昆虫や野鳥が来るようにしてあります

≪生き物調査実施≫

7月に施設内にどの様な生き物が住んでいるか、調査をしました。

調査した水生生物は、全体的に小さく、殆どが稚魚で確認した魚類は、コイ、ニゴイ、フナ、ヨシノボリ、モツゴ、タモロコ、タイリクバラタナゴ、ドジョウなどでした。棲魚状況は、おおむね良好で、そのほか沼エビ等の甲殻類、シジミやチリメンカワニナなどの貝類、ハグロトンボやシオカラトンボのヤゴや成虫を確認しました。また、カモなどの飛来も確認しています。

 

施設内捕獲状況

見沼代用水路は、川としての機能を回復させつつあり、今後さらに用水路本来の機能を損ねることなく、生き物の育む環境を構築し、また生態系に寄与する環境用水路としての役割も考えていかなければならないと思います。

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