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みぬまたんぼ探検隊

「見沼代用水路を下る!其の壱:利根大堰編」

 作物の栽培に欠かせない大切な用水を見沼田圃へと運んでくれる「見沼代用水路」。この“見沼田圃の動脈”とも言える見沼代用水路の水は、どこから、どのようにしてやって来るのでしょうか? 
そんな素朴な疑問にお答えするため、今回は、見沼田圃地域内を飛び出して、見沼代用水路の最上流までいったん遡り、水の流れに乗って水路を下りながら、見沼代用水路の始まりから終わりまでを1年ほど?掛けて御紹介していきたいと思います。(事務局:ふる川) 


[利根川下流から見た利根川大堰の全景]


[利根大堰に整備された魚道。
ここを魚が上がって行きます]


[ここから自然の観察室へはいります]

[利根大堰] 
見沼代用水路の用水は見沼田圃を60km北上した行田市の利根川から引いています。この堰は、その利根川にある大きな堰で、ここで流れを堰き止めて、見沼代用水路へ用水を取り入れています。堰は利根川を横断していて、埼玉県から群馬県へと渡る武蔵大橋が整備されています。
 とても大きな堰で、利根川に横たえたその長さは692m。史上最大最強の戦艦と言われた戦艦大和の全長の2.5倍以上になります(大和を見たことがある方は、今、深く頷かれていることと思います)。
 水の取入れから見沼代用水路へ流れていくところの様子は、次ページの写真を御覧ください。

[魚道]
 利根大堰には、魚が利根川を遡上できるように、埼玉県側と群馬県側、川の中程の3カ所に魚道が整備されています。この魚道のうち、埼玉県側の1号魚道を上ってくる魚の様子は、「大堰自然の観察室」で見ることができます。
 魚道は、昭和43年完成してから数度の改良を加え、平成7〜9年度には全面的に改築され、魚の遡上に対しても十分機能を発揮しています。

[大堰自然の観察室] 
 大堰の埼玉県側にあります。武蔵大橋の真下に設置されていて、入口がやや分かりづらいですが、堰のすぐ脇にある階段から利根川の水面下に降りて行く格好で観察室に入ります。
 観察室には、1号魚道を遡上する魚が見られる3つの観察窓があるほか、展示パネルやビデオ映像を映すモニターなどがあります。
 遡上する魚は様々です。4月〜6月にはアユが、10月〜12月にはサケが利根川を上って行きますが、ここへ行けばいつも見られるというわけではないので御注意を! 魚が活発に活動する時間(午前中?)に行きましょう!

[利根川のサケ] 
 利根川は、日本の太平洋岸でサケが遡上する河川の南限と言われています。昔は群馬県沼田市内の利根川などで、晩秋にサケが遡上し、産卵する光景が見られたものの、昭和30年代にはサケは徐々に減少し、昭和40年代前半には遡上がいったん途絶えたようです。


[自然の観察室は少し暗いです]


[この窓から魚の遡上が見られます]

 その後、昭和50年代後半から市民団体によるサケの稚魚放流が始められ、現在では多くの市民団体小学生などにより稚魚の放流が行われています。
 昭和58年からは、利根大堰におけるサケの遡上実態を把握するため、水資源開発公団が利根大堰魚道3カ所で遡上調査(調査期間10月1日〜12月25日)を実施しています。
 平成13年度には729尾、平成14年度には1,090尾、平成15年度には調査開始以来最高記録となる1,515尾と、確認されるサケの数は年々増えています。
 平成15年度のデータによると、サケの遡上は11月がピークで、10日ごとの数では、11月11日〜20日の358尾が最高となっており、魚道別では1号魚道が最も多く、804尾の通過が見られました。

[元圦公園:樋守弁財天・井沢祠社殿]
 利根大堰注水口の西側には元圦公園があります。見沼代用水路は、八代将軍徳川吉宗の命を受けた井沢弥惣兵衛為永の指揮により、1727年8月から掘り始め6ヶ月間で約80km、80haを開削し完成しました。用水の開削当初から昭和43年に利根大堰が完成するまで、利根川からの水の取入口(元圦)は、大堰よりもやや上流にあり、その跡地に造られたのがこの公園です。
 この公園は、為永の偉業と見沼代用水路開発250年を記念して昭和52年に整備されました。公園の北端には、記念碑等が新設・移転してあり(下左の写真)、ここでは樋守弁財天・井沢祠社殿や見沼代用水元圦史跡の碑、見沼元圦改築之碑などが見られます。
 社殿には、為永没後、農民がその功績を永遠に伝えるため元圦畔に建設した、為永を祭る「井沢祠」と、大正6年に再建した「樋守弁財天」の両石碑が納められており、見沼代用水の潤沢平安を見守り続けています。


[利根川の取入口から入った水は・・・]


[堤防を潜り注入口からそそがれ・・・]


[大分水で3つの用水路にわかれます]


[桶守弁財天・井沢祠社殿など]


[小稲荷橋から見た激しい水の流れ]

※参考文献等
・利根導水総合管理所HP
・見沼代用水土地改良区資料


大堰自然の観察室


所在地:行田市大字須加
開館時間:9時〜16時30分  休館日:なし  入館料:無料
交通案内:行田市駅からバス
○行田市内循環バス(北循環)→老人福祉センター下車 徒歩5分 
問合せ先:水資源開発公団利根導水総合管理所  電話:0485-57-1501

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