見沼塾からのレポート その4

第25回〜第32回

 

第32回見沼塾からのレポート

[11月13日(日)]2005

〜旧高野せんべい店完成記念〜

[七輪で焼く煎餅の製作を実演しました]

11月の見沼塾は、民家園を会場に13日(日)10時〜12時に開催しました。
 民家園内に旧高野家住宅(せんべい店)が昨年度末に移築・復原が完了したことを記念して「物売りの文化史〜露商から店舗へ〜」のテーマで、講師に宮内正勝・高野博明氏を招き、講演と煎餅の手焼体験を行いました。受講者数は定員を上回る36名を数えました。
 講演では商店の看板・店構え・広告などを地域性や店主の個性がにじみ出る代表的な事例についてスライドを用いて紹介・解説しました。また、商店や個人宅で使われた実物資料を直に手にして観察することができたなど大変実り多い講演になりました。

 煎餅の手焼体験は炭焼きにより行いました。七輪の火加減と焦げ目の具合に一喜一憂しつつ、醤油タレを刷毛でつけ煎餅を完成させました。煎餅の手焼体験は初めての方ばかりでしたが、草加煎餅とは違う手焼を学び、受講の皆さんには大変好評でした。

(浦和くらしの博物館民家園:田口勝一)

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第31回見沼塾からのレポート

[10月23日(日)]2005

〜わらぞうり作り〜

[要所を先生に手ほどきしていただきます]

 わらぞうりは、その名の通り、藁でできた履物ですが、現在、藁ぞうりを履く機会はなく、なじみがないかもしれません。このたび、2時間30分の講座での製作でしたが、年配の方から、小学生まで、時間内に作り上げることができました。
 藁は、刈り取ってから、葉やごみなどをすぐって落とし、木槌でたたいてなめしてから、使います。今回は、下準備は当館で行い、藁ぞうり作りに専念してもらいました。なれない作業ですが、講師の河田先生が一人一人に丁寧に応対したため、1足目より2足目はスムーズに進んだようです。
 子供たちも自分の足にあわせた小ぶりなぞうりを作りたかったようですが、形を整えるのも至難の業で、大人でも難しく、皆さん味のある形のぞうりになっていました。

 自分だけの手作りわらぞうりは、愛着がわくようで、早速履き心地を試していました。裸足に藁の感触は「ちくちくして痛い!」との感想でした。
 興味を持った方は、家でも作りたいと、藁を持ち帰る意気込みです。
 当日はケーブルテレビの撮影が入り、受講生の方々はインタビューに笑顔で受けていました。最後は出来上がったわらぞうりを手にポーズ!記念写真を撮りました。
 民家園では、見沼塾を含め、昔の生活に関する講座をいろいろ行っています。秋晴れのいい季節、散策、散歩などで、是非お運びください。

(浦和くらしの博物館民家園:渡辺房子)

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第30回見沼塾からのレポート

[10月8日(土)]2005

〜見沼たんぼをスケッチしよう6〜

[水彩スケッチ紀行もご覧ください]

 毎年、好評を博しております八木一郎先生ご指導によるスケッチ講座が、10月8日に実施されました。
 当日は、時々小雨がぱらつく曇り空にもかかわらず、絵筆を持つのは中学校以来という方や、小学生のお子さんとご両親など17人の参加がありました。
 はじめに、講座室で心構えと技法のお話がありました。先生の作品を手本に、遠近法の基礎が示され「目線をきめたら移動しない」「鉛筆デッサンは下描きと同時に完成された線でもある」等に心がけ取り組むこと。また、目の前の実景から煩わしいものは消したり、移動させたりする絵画的演出や、こだわりがあれば手間を惜しまず細部まで描きこむことで、写実性や描き手の主張をあらわすことができる等、わかりやすく丁寧な解説が行われました。

 民家園周辺での実技指導では、作品一つひとつに具体的で的確な筆使いを加え、参加者は先生の一言ひとことを聞き漏らさず、熱心に描き込んでいました。
 午後からは、一人ひとりの作品を前にして、全員で構図の良さや優れた色使いを褒め合いました。先生からは、身近な風景をスケッチする心構えと励まし、一筆加えると更によくなる点などの指導を受け、参加者一同、スケッチの楽しさを心のキャンバスいっぱいにし帰路に着きました。

(浦和くらしの博物館民家園:秦野昌明)

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第29回見沼塾からのレポート

[8月2日(火)]2005

〜藍染め(生葉染め)ハンカチつくり〜

[園内の藍の葉を摘み取る所から始めました]
[出来たァ!!きれいに染め上がったですよぉ] 

 見沼塾「藍染(生葉染め)ハンカチつくり」は、7月〜8月の夏休み期間中の親子チャレンジ教室の一環として、8月2日(火)に実施しました。
講師は、市内在住で藍染研究家として県内外の博物館等でご活躍されている、山崎利江先生です。今回の藍染は、民家園で栽培している藍の葉を使って行いました。天然の染料を使用しているので、安全性が高く環境にやさしいため市民の関心も高く、講座開催前から問い合わせも非常に多く、当日は28名の親子が参加しました。
まず、絹のハンカチに模様を作るためハンカチを紐で縛り、水に浸します。次に、畑で藍の葉を摘み取ります。ハンカチ1枚につきおよそ300gの藍の葉を摘み取ったら井戸水と一緒にミキサーに混ぜて藍のジュースを作ります。葉のカスをこして取りのぞいたものが染液になります。この緑色の液に10分間浸け込み、染まったら井戸水で流します。すると鮮やかな藍色に染め上がります。ハンカチを干し、乾いたら完成です。
民家園内の畑、旧蓮見家住宅・庭内での暑い中での作業でしたが、染まっていく過程の色の移り変わりが大変興味深かったようで、染め上がると子どもたちの歓声があがりました。縛っていた紐を解くと、鮮やかに模様が染め抜かれていてその模様の美しさにも大変満足し、参加者は自分の作品を持ち帰りました。

 浦和くらしの博物館民家園は、市内に残る伝統的な建物を移築復原し、これらを展示公開する施設です。
また、見沼田んぼのほぼ中央にあたり、散策も楽しめる場所にあります。
是非、皆様のご来館をお待ちしています。

(民家園:溝上明子)

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第28回見沼塾からのレポート

[7月16日(土)]2005

〜見沼おもしろ昔ばなし〜

 
[連載の昔ばなしもお読みください]

 第28回見沼塾「見沼おもしろ昔話」が、7月16日土曜日午後2時から4時まで、さいたま市見沼区の旧坂東家住宅見沼くらしっく館で開催された。講師は、見沼や見沼田んぼ、見沼の伝説などについて長年研究を続けてこられた宮田正治先生である。
風もなくたいへん蒸し暑い日で、冷房設備などない旧坂東家住宅の奥座敷での開催は、講師・参加者双方に対して快適とは言えない環境を強いることになってしまったが、それでも参加者は35名を数え、皆熱心に先生の話に聞き入っていた。
 話の内容は、見沼・見沼たんぼ・見沼代用水についての地理的・歴史的な概説と、見沼に伝わる民話や伝説についてのものであった。地理的・歴史的な話となるととかく難しくなりがちであるが、先生の話はお手製の図表や模型などを使ったわかりやすいもので、参加者は具体的に見沼についての理解を進めることができたのではないだろうか。絵ばなし『見沼の竜』で今回の講座は締めくくられたが、これもお手製の絵を使った迫力満点のお話で、一瞬、旧坂東家住宅の奥座敷に見沼の竜がよみがえったかのような涼しさが駆け抜けていった。

 見沼たんぼ・見沼の自然の保全が叫ばれている今、見沼について様々な角度から理解を深めるという意味でも今回の講座はたいへん有意義なものであったと思う。

(くらしっく館:豊田和夫)

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第27回見沼塾からのレポート

[6月11日(土)]2005

〜音でつづる世界の旅〜

 
[見沼にいながらにして
世界を巡るひとときでした]

 6月11日土曜日、見沼塾「ピアノコンサート〜音で綴る世界の旅〜」が、旧坂東家住宅見沼くらしっく館で開催された。約150年前に建築された古民家である旧坂東家住宅の土間にピアノを運び入れて、ジャズピアニストによる演奏を楽しもうという企画である。タイトルにあるとおり、参加者は横浜から船に乗ってハワイを経てアメリカ、ヨーロッパ、アラビアそして再び日本へと、各地の音楽を聴きながらの世界一周ツアーに参加するという趣向だ。土間の南隅に小型のアップライトピアノが置かれ、囲炉裏端や土間の一部、その後ろの座敷2間が客席となる。

 心配された天気も正午過ぎには回復し、午後2時の開演直前には参加者数は100人を超えてしまう。コンサートはピアノと歌による「Around the World」で幕を開けた。ピアノを演奏するのは浦和区在住のジャズピアニスト波田野敬子さん、歌と司会を担当するのは杉田智子さんと柳田智子さんのお二人、そして波田野さんの3人のお嬢さんも歌やリコーダー、太鼓などで参加した。参加者へのインタビューを交えたり、波田野さんの高校時代の同級生の出演があったりの楽しい雰囲気の中で、「憧れのハワイ航路」「思い出のサンフランシスコ」「ハーレム・ノクターン」「オーソレミオ」「ブンガワンソロ」「ふるさと」など計26曲が演奏された。どの曲も迫力のある演奏によるもので、午後4時過ぎ、大きな拍手とともにコンサートが終了したときには、波田野さんは汗びっしょりであった。
古民家の土間でのピアノ演奏というミスマッチが作り出した不思議な時空間とすばらしい演奏とに、参加者は満足して会場を後にしたことと思う。来年度も引き続き開催を検討したい企画である。

(くらしっく館:豊田和夫)

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第26回見沼塾からのレポート

[5月4、5日(祝)]2005

〜紙芝居と民話を楽しもう〜

 
[古民家の中で聞く民話の語りは
一味違います]

 見沼塾が行われた5月4・5日は、毎年、近隣の公園で、農産物の即売会などのイベントがあり、多くの人が民家園を訪れています。本年も、天気に恵まれ、散策日和となりました。
 民家園では、2日間、昔の遊び道具を用意し、自由に遊んでもらえるコーナーを設けました。
 コマ、たが回し、缶ぽっくり等に人気がありました。
 また、4日は、10時から3時まで、紙こばこによる紙芝居を行いました。紙こばこは、市内の公民館や公園などで、活動している紙芝居サークルです。演目も幅広く、「ねんぶつぶつぶつ」など見沼に関係した話、「ごんぎつね」など日本の昔話、また、さいたま市の紹介や、エコロジーをテーマにした内容など多岐にわたるものでした。
 ローテーションで20項目行い、延べ200人が集まりました。大人も子供も楽しめる楽しい紙芝居でした。

  5日は、午後1時と午後2時からの2回、民話の語りを旧野口家住宅で行いました。語るのは土田、田中先生のお二人です。見沼の歴史、「見沼の蛍」「見沼の竜」など、地域に関係した民話から、日本に古くから伝わる昔話などを披露し、延べ70人が集まりました。
浦和のくらしの博物館民家園は、市内に残る伝統的な建物を移築復元し、これらを展示公開する施設です。また、見沼田んぼのほぼ中央にあたり、散策も楽しめる場所にあります。
是非、皆様のご来館をお待ちしています。(民家園)

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第25回見沼塾からのレポート

[4月17日(日)]2005

〜花盛り見沼寄席〜


[巧みな話芸に笑いの花も満開です]

 見沼塾「花盛り見沼寄席」が4月17日、旧坂東家住宅見沼くらしっく館で開催された。落語鑑賞会は今年で4回目となるが、見沼塾としては今回が初めての開催である。出演するのは埼玉落語会の皆さん。素人の噺家とはいえ会は今年で結成43年目、いずれもプロ並の芸の持ち主ばかりである。高座は旧坂東家住宅の「おくでい」と呼ばれる奥座敷に床の間を背にしてしつらえてあり、縁側や庭からも気軽に落語を聴いてもらおうという寸法である。
 春の日差しに包まれた古民家の座敷での雰囲気たっぷりの寄席は、昨年を上回る53名の参加者を集めて11時より第1部が始まった。本格的な出囃子とともに「もて亭小まる」「江戸屋むらさき」などという個性的な芸名の出演者が高座に上がり、ひとしきり「まくら」で笑わせた後、「浮世床」「長屋の花見」などのおなじみの古典落語を聴かせていく。大笑いしているうちに忽ち時間は過ぎ、津軽三味線の弾奏を含めて7名の出演者による第1部は午後1時過15分に終了した。

 お昼休みには、埼玉落語会のご厚意により、楽屋に差し入れられた食べ物や飲み物が参加者に振舞われたが、約30分しか休憩時間を取ることができず、あわただしく第2部が始まってしまい、来年度への課題を残すこととなった。
 第2部は落語の出演は4名だったが、津軽三味線の他にこれまた玄人はだしの奇術もあったりで、第1部同様大賑わい(参加者数48名)、大満足の内に午後3時20分に終了した。
 お開きとなった会場を後にする参加者の笑顔を目にすることができ、また、埼玉落語会の皆さんからも「こんな雰囲気の良い場所でやらせていただいて」と感謝の言葉をいただき、運営したスタッフとして嬉しい限りであった。春の恒例行事として今後も続けていけたらと思っている。(くらしっく館:豊田和夫)


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