庚申塔の所在地と各塔の主要な要素
○ 東の端にある塔から順次紹介しましょう。
○ 「 」内は、塔に刻んである文字です。
1 上野田・天満宮近傍
① 明和5年(1768)。 板碑形(いたびがた)。日月。青面金剛像(しょうめんこんごう
ぞう)。邪鬼(じゃき)。二鶏(にけい)。三猿(さんざる)。
「明和五戊子十月吉日 足立郡新染谷村 願主西信 同惣村中 大随求真言(だい
ずいぐしんごん)(梵字真言)」。
総高118.5㎝。
2 片柳・秋本家
② 寛政10年(1798)。 笠付角柱形。日月。青面金剛像(腰に龍。下肢の虎皮に
顔)。 二邪鬼。二鶏。三猿。
「寛政十戊午年霜月吉日 武州足立郡 見沼領片柳村 願主 秋本直右ヱ門(外30名)
岩槻市宿町 石工 萩原伊兵衛」。
総高223㎝。
3 片柳・萬年寺
③ 天明7年(1787)。 笠付角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。二鶏。三猿。
「天明七丁未年十一月吉日 奉造立庚申供養塔 天下泰平日月清明 武州足立郡
片柳村講中」。
総高87㎝。
④ 天保12年(1841)。 笠付角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。三猿。
「天保十二辛丑四月吉日 武州足立郡見沼領 片柳村 守屋甚右エ門(外45名)」。
総高168㎝。
4 片柳・三国コカコーラ前
⑤ 寛文1年(1661)。 板碑形。日月。三猿。二鶏。
総高105㎝。
⑥ 元禄8年(1695)。 舟形光背形(ふながたこうはいがた)。青面金剛像邪鬼。二鶏。
三猿。「奉造立庚申供養 片柳村 秋本五左エ門他一六名」
総高133㎝。
⑦ 正徳1年(1711)。 笠付角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。二鶏。三猿。
「庚申塔満願塔 片柳村 施主 敬白」。
総高142㎝。
5 染谷・常泉寺参道際前
⑧ 文化7年(1810)。 角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。二鶏。三猿。
「武州足立郡南部領片柳村 願主 秋本猶右エ門(外27名) 林道町 石工
武兵ヱ」。
総高137㎝。
6 染谷・バス停染谷新道側
⑨ 明和8年(1771)。 角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。二鶏。三猿。
「片柳村 願主 喜右ヱ門(外26名)」。
総高157㎝。
7 片柳・見沼くらしっく館西
⑩ 文化7年(1810)。 角柱形。日月。青面金剛像。邪鬼。二鶏。三猿。
「武州足立郡南部領片柳村 願主 秋本猶右エ門(外27名) 林道町 石工
武兵ヱ」。
総高157㎝。
8 染谷・八雲神社
⑪ 明治31年(1670)。⑫元禄八年(1699)。 板碑形。日月。「奉造立庚申供養
元禄八乙亥天一月吉祥日 染谷村 結衆」。⑬年不詳。三猿。
⑪⑫⑬の3基は祠内にあり、よく見えません。草臥(くた
び)れるようでしたら
見学はカットしても……
庚申信仰とは
根幹は不老長生を願う信仰です。農村地帯では、五穀の豊饒や平和であることも併せて 願っています。十干と十二支を組み合わせて年・月・日をあらわしますが、庚申の日の夜
に人がぐっすりと寝込むと、躰の中にいる三尸虫(さんしちゅう)が身体から抜け出し天帝
にその人の行状を報告にいきます。天帝は其の報告を聞いて、その人の寿命を縮めます。
ですから守庚申(しゅこうしん)と言って、庚申の夜は寝ないで一晩中起きています。
庚申塔を建てる
守庚申を7回続けると三尸虫は長絶するといわれ、⑦に「満願」とあるように、無事
守り通すと庚申塔を建てることが多かったようです。
庚申塔のこんなところを見よう
塔の形 … 板碑形・笠付形・角柱形・舟形光背形など。
日と月 … 丸いのは日、三日月形は月。位置は笠か塔身か。瑞雲の形。
青面金剛 … 先ず頭髪、総髪か三つの山に分かれているか。ヘアーバンドをしている
か。 蛇がいるか。 額に目があるか。 手は何本か。 六本あるのを六臂
(ろっぴ)と言います。六臂の持物(じぶつ)は何か。 宝輪(ほうりん)
・ショケラ・弓・戟(げき)・剣・矢などを持っています。ショケラは
三尸虫をあらわします。 腰に龍がいるか。 下半身に虎皮を纏(まと)
っているか。
邪 鬼 … 1匹か2匹か。顔や躰の向きとポーズ。
二 鶏 … 雌雄の位置やポーズ。
三 猿 … 目・口・耳を塞いでいますが、その配列順序やポーズ。
文 字 … まずは造立年月日をみましょう。 造立の趣旨はあるか。 造立者はだれか。
石工の名前がある塔もあります。
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