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みぬま通信「自然観察ハイキング」レポート

〜見沼の自然と史跡を訪ねて〜

 

第31回 平成19年 10月6日(土) 見沼たんぼと傾斜林を歩く New !
──              ──
第28回 平成19年 4月21日(土) 民家園から国昌寺を経て鷲神社へ
第27回 平成18年11月11日(土) 氷川女体神社・見沼氷川公園ほか
──              ──
第25回 平成18年 4月22日(土) 深井家長屋門・御蔵クマガイソウなど
第24回 平成18年 3月25日( 土) 鈴木家住宅・見沼通船堀・民家園など
第23回 平成17年11月 5日(土) 見沼自然公園・深井家長屋門ほか
第22回 平成17年 9月19日(祝) 丸ヶ崎水田・深川遊水池ほか
第21回 平成17年 4月23日(土) 見沼グリーンセンター周辺
第20回 平成17年 3月26日(土) 新見家の長屋門から大和田の五葉松まで
第19回 平成16年11月 6日(土) 東浦和駅からさいたま市立病院
第18回 平成16年 9月 4日(土) 見沼自然公園から見沼くらしっく館
第17回 平成16年 4月17日(土) みぬま見聞館から中山神社
第16回 平成16年 3月27日(土) 見沼代用水西縁と大牧自然緑地&氷川女体神社
第15回 平成15年11月 8日(土) 大宮の芝川低地&斜面林
第14回 平成15年 9月 6日(土) 美園緑地から民家園へ
第13回 平成15年 4月19日(土) 春の七草を探す
第12回 平成15年 3月29日(土) 東沼神社から見沼通船堀へ
第11回 平成14年11月 2日(土) 里山の自然と人間との関係を探る
第10回 平成14年10月 6日(日) 見沼たんぼ北東部の加田屋新田を歩く
第 9回 平成14年 4月20日(土) 見沼通船堀公園から浦和くらしの博物館民家園へ
第 8回 平成14年 3月23日(土) 川口鳩ヶ谷の見沼代用水東縁を歩く
第 7回 平成13年11月 3日(土) 浦和博物館から氷川女体神社、氷川公園、浦和くらしの博物館民家園へ
第 6回 平成13年 9月 8日(土) 見沼たんぼに秋を見つけて
第 5回 平成13年 5月26日(土) 染谷ふるさとの緑の景観地区と加田屋を見て歩く
第 4回 平成13年 3月20日(火) 大崎園芸植物園から国昌寺、見沼自然公園へ
第 3回 平成12年11月25日(土) 見沼通船堀から川口市自然公園〜念仏橋へ
第 2回 平成12年 8月26日(土) 大宮の見沼たんぼと斜面林を歩く
第 1回 平成12年 5月14日(土)

 Aコース:加田屋・染谷方面
 Bコース:南部領辻・片柳

 

第31回 自然観察ハイキング New!

〜見沼の自然と史跡を訪ねて〜

平成19年 10月6日(土)

見沼たんぼと傾斜林を歩く

コース:大宮公園駅⇒見沼代用水西縁芝川⇒大和田緑地公園⇒大和田陣屋跡⇒

一等三角補点⇒大和田駅前

見沼たんぼくらぶ会員15名と会員外17名、合わせて32名の参加で、NPO法人自然観察さいたまフレンド所属の自然観察指導員10名が2名ずつ5班に配置されましたので、マンツーマンの自然解説ができて大変喜ばれました。

見沼田圃の休耕田ではサクラタデのピンクに染まった大群落に迎えられ、「すごーい」等と歓声があがりました。それから、皆さんが感動し「この葉っぱはね・・・」と丁寧に解説たのは、大豆の原種ツルマメ、粟の原種エノコログサ、「蓼食う虫も好き好き」と言われるヤナギタデ(タデ酢の原料)等の野草が次から次と紹介されたことです。

自然護岸の芝川に来ると、アオサギ・カワセミ・カルガモ・カイツブリが見られ、さながら野鳥園のようでした。

さいたま市の「特別緑地保全地区」第1号に指定された大和田緑地公園では、いろんな緑に彩られた美しい自然景観、緑の香り、美味しい空気に包まれ、「軽井沢に来たみたい」と言う声も聞こえました。

〔「この葉っぱはね・・・」と丁寧に解説〕

 

(見沼たんぼくらぶ理事  小野 達二)

 

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第28回 自然観察ハイキング

平成19年 4月21日(土)

民家園から国昌寺を経て鷲神社へ

浦和くらしの博物館・民家園に集合。3班編成で出発し、緑のヘルシーロードと呼ばれる用水沿いの道を進んだ。クワの木が淡いクリーム色の花をびっしりつけている。畑地を過ぎると斜面林がせまってきて、木のトンネルのように日陰をつくり涼しい。

やがて国昌寺に出た。開かずの門の伝説として有名な山門は江戸中期の建築で、菊の大きな紋章が重々しい。寺を出て小道に入ると、見事な孟宗林の竹林にぶつかる。緑のトラスト保全第一号地だ。竹林はきれいに手入れされ、古い竹が切り取られ、モスグリーン色の若竹がすがすがしい。

トラスト地を後にして歩いていくと、ワラブキ屋根の民家を見かける。カギ形に曲がった平面を持つ曲家だ。そのたたずまいは何とも言えないおもむきがある。小道を曲がると、長屋門もあり、大きなムクノキが見下ろしている。

鷲神社に至る。一帯は高台に位置しているため、低いところには畑地が見え、その向こうに斜面林があり、のどかな田園風景をかもし出している。はるかに、ウグイスの声も聞こえる。周辺は、県のふるさとの森となっていて、小木は刈り取られて、明るい林になっている。

さわやかな風にふかれて遊歩道や植木畑を歩き、見事な竹林へも立ち入り、様々な木々、草花に出会った。さらに、古い歴史のある史跡をめぐって、心の洗われた午後のひとときだった。                         [浦和民家園(八木一郎 画)]

(自然観察さいたまフレンド 美原)

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第27回 自然観察ハイキング

平成18年 11月11日(土)

氷川女体神社・見沼氷川公園ほか

小雨の降り続く中、参加者25名が5班に分かれて、さいたま市緑区西部を流れる見沼代用水西縁周辺を南から北に約5km歩きました。

この辺りの社寺には由緒ある文化財が多く、「見ごたえがある。来て良かったよ」「清泰寺の庚申塔は351基も垣根のように並んでいて実に壮観」などと参加者から大好評。史跡めぐりをしながら樹木と実、咲き残る野の花を観察しました。

ピーナツのような歯ざわりで淡い甘味のあるスダジイ[ブナ科の常緑樹]の実、乾ブドウのような味のするムクノキ[ニレ科の落葉樹]の実が美味しいことで皆様に大変喜ばれました。

氷川女体神社社叢ふるさとの森は、さいたま市では珍しい常緑広葉樹林で、シラカシ・シロダモ・ヒサカキなど東日本の在来種に暖地性のタブノキ・クスノキ・サカキが混在していますので、樹木の見分け方を勉強していただきました。当地に暖地性の樹木が自生しているわけは、縄文海進の際、西日本からこれ等の実が流れ着いたのではないかと言う仮説も興味深く聴いてくれました。

咲き残る秋の野の花は、在来種ではオギ・ススキ・ノゲシ・イヌタデ・ハナイバナが少々見られるだけでした。一方、帰化植物はセイタカアワダチソウ・コセンダングサ・シロノセンダングサ・ベニバナボロギク・ハキダメギクがそこかしこに咲き誇っていました。

参加者は緑区と見沼区の方が殆どでしたが、遠くは八王子市や行田市の方もおられ、皆さん雨にも負けず熱心に見たり聴いたりしてくれましたので、私たち指導員も張り切って見沼の自然と文化を解説することができました。

大牧自然緑地では、旧浦和市の時代には真っ暗な森でしたが、さいたま市になってから、さいたま市みどり愛護会の仲間が枝打ちや下草刈りをして明るい雑木林に復元したことでご近所の方から喜ばれていると話をしたら、それに共鳴して2人の方から同会に入会したいとの有難い申し出がありました。

(くらぶ理事:小野達二)

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第25回 自然観察ハイキング

平成18年 4月22日(土)

深井家長屋門・御蔵クマガイソウなど

○見沼自然公園から野の花や樹木をみて歩く

この日午前は、旧坂東家住宅見沼くらしっく館で、見沼たんぼくらぶ総会があった。13時には、同場所に45名が集まり、5班に分かれ、各班にNPO法人自然観察さいたまフレンドの指導員2名ずつついて、自然と史跡のガイド役を務めた。

自然公園では、絨毯を敷き詰めたようなムラサキサギゴケの群生地の回りを歩き、2種の落葉樹−中国産のメタセコイアと、北米原産のラクウショウ−の見分け方を学んだ。(葉の付き方が前者は対生で後者は互生)

○童心に返って、春の七草を探したり、スミレの仲間を調べる

片柳東の田圃では、カブ以外の6種を次々と発見。みんな楽しそうだった。                                              [総会の後、出発前のひととき]

セリ、ナズナ、ハハコグサ、ハコベ(ハコベラ)、コオニタビラコ(ホトケノザ)、カブ(スズナ)、ダイコン(スズシロ)。 *( )内は旧種名。

片柳の筆塚・花塚周辺では、コスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ヒメスミレ、マルバスミレと何と5種のスミレ科を見つけ、みなさん大喜び。

○クマガイソウ,イカリソウはじめ咲き乱れる野の花

御蔵の尾島家では、さいたま市天然記念物のクマガイソウ・イカリソウはじめ野の花が咲き乱れ、さながら野草の植物園のようだった。

開花中の確認種は次のとおり。

アマドコロ、イカリソウ、ウラシマソウ、カントウタンポポ、キランソウ、キンラン、クマガイソウ、シロバナタンポポ、ホウチャクソウ、ミツバツチグリ、ミミナグサ、ムラサキケマン。

(理事:小野達二)

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第24回 自然観察ハイキング

平成18年3月25日(土)

鈴木家住宅・見沼通船堀・民家園など

よく晴れた春らしい天気の朝9時、武蔵野線・東浦和駅前に集合。参加者は一般の方が43名、会員は18名(内指導員8名)の合計61名。

小野会長挨拶と見所紹介の後、民家園までのおよそ6kmの説明と指導員の紹介があり、5班に分かれて9時20分に駅前を出発。

路は急な坂となり、すぐに見沼代用水西縁に出た。そこにはホトケノザ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、セイヨウタンポポなど早春の花が満開。そばの畑にはボケ、レンギョウ、ツバキが花盛り。屋敷の中にはシキミが淡い黄色の花を咲かせていた。早速指導員からレンギョウには色々な種類があり、レンギョウは枝の中が中空、シナレンギョウは長く伸びる枝が出ない、そしてチョウセンレンギョウは枝が長く弓形に曲がるのが特長なので、すぐに見分けられるとの説明があり、さすがだなと感心した。通船堀入口から水路の右岸を歩き、橋を渡って鈴木家住宅に到着。この家の土蔵の製作にたずさわったという方から土蔵の壁の塗り方について興味あるお話を聞くことが出来た。

芝川を渡った所にある水神社はとても古い神社で、本殿に飾られている竜の彫り物はとてもすばらしかった。水路に戻り、いよいよ閘門式運河の現場に向かった。これは見沼代用水と芝川の水位に3mの高低差があるので、2箇所に水門を設け、水位を同じくして船を通したもので、享保16年(1731年)に作られたわが国最古のものだという。

水路の両岸にはサクラ(ほとんどがソメイヨシノ)の木が植えられていて、いまにも咲きそうなつぼみがいっぱい付いていた。水路の突き当たりには木曽呂の富士塚がありオオカンザクラ(安行ザクラ)が満開だった。代用水の中を覗くと大きな鯉が元気に泳いでいるのを見つけて大喜び。でも、3面護岸では繁殖するのは難しい。

ほどなく川口自然公園に到着。ここではめずらしいカツラの花を見ることができた(写真)。公園の中は陽気にさそわれた家族連れが楽しそうに散策する姿を沢山見受けた。公園を通り抜け、しばらく歩くと東沼神社に着いた。境内のサクラも満開に近く、花見の客に混じって、お宮参りの若い夫婦が何組もお参りしている姿があり心温まる思いがした。

                                                             [カツラの花]

しばらく歩くと見沼自然の家に着いた。ここは、民間団体が維持・管理しているとのこと。庭にはニリンソウやハランの花を見ることができた。時間も12時を過ぎようとしていたので少し急いで終着点に向かった。風もなく春うららの中を気持ちよく歩いて浦和くらしの博物館民家園に到着。各班ごとに今日の成果を確認し、感想などを述べ合って無事終了、解散となった。

(くらぶ会員:小原邦彦)

   

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第23回 自然観察ハイキング

平成17年11月5日(土)

見沼自然公園・深井家長屋門ほか

 雨の予想に反し快晴の小春日和。午前9時、見沼自然公園に参加者15名、スタッフ10名が集合した。はじめの集いは10月にできたばかりの見沼代用水開拓者・井澤弥惣兵衛の銅像の近くで行われた。終了後5班に分かれスタートした。

都市型公園の見沼自然公園

園内にはアキニレが実を着け、珍しいナンジャモンジャ(ヒトツバタゴ)の黒い実も僅かにみられた 。 池の近くにはラクウショウ(ヌマスギ)とメタセコイヤ(アケボノスギ)が並んでいて葉の互生・対生で見分けができた。ラクウショウの気根もみられた。また池には冬鳥のオオナガガモやキンクロハジロが飛来し留鳥のカルガモやバンと遊んでいた。

深井家の長屋門

 見沼代用水東縁からさぎ山記念公園の雑木林に入ると代表的な樹木クヌギ・コナラ・シラカシ・ムクノキなどの実が落ちていた。また 、シロダモの赤い実を付けた雌株と実のない雄株が並んでいた。林を出て明るい陽射しの畑の中を歩くとカラスウリの実がいたるところにあり、江戸時代にこちらの特産品を作っていたタマシブガキの木が列をなしていた。 ヤマノイモにはムカゴが付いており一粒かじってみた。深井家にはカヤの巨木があり、門前にははがきの名前の由来であるタラヨウがあったので落ち葉を拾い文字を書いてみた。

見沼たんぼ

 斜面を下り再び見沼代用水を渡り田んぼにでる。稲刈りの済んだ田には稲孫(ヒツジ)がでていた。あぜ道には季節はずれのホトケノザやオオジシバリがちらほら咲いていた。加田屋川の橋の上ではカワセミ2羽が飛び、遠くの木にはアオサギが見られた。 また、道端にはオオオナモミ(ひっつきむし)もいたるところにあった。

万年寺

 万年寺の斜面ではタゲニグサとナギナタコウジュがあった。境内に入ると花が咲くとバナナの匂いがするトウオガタマ(枝や葉柄に褐色の毛が多い)があり、サワラの大木も実を付けていた。 入り口にはラカンマキ、中にはコウヤマキそしてイヌマキと3種のマキがあった。

片柳東斜面林からゴールへ

 井上家から片柳東の用水沿いを歩くとイイギリの赤い実があちこちに見られた。目立たないが実を付けていない雄株もあった。斜面林の中に入りアカシデ・イヌシデ・エゴノキなどを眺め大宮共立病院裏に出る。斜面にはムラサキシキブがひときわ目に付く。 信号を渡し見沼くらしっく館には予定の12時近く到着。館内を自由見学してもらい解散した

 20度を越える暖かい初冬、のんびりと散策を楽しむこ

とができました。

(くらぶ会員:稲葉孝夫)

[さいたま市指定文化財 深井家長屋門]

 

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第22回 自然観察ハイキング

平成17年9月19日(祝)

丸ヶ崎水田・深川遊水池ほか 

見沼たんぼくらぶ主催による表題の自然観察ハイキングが9月19日に自然観察さいたまフレンドの企画・指導により実施された。当日は晴れて、気温が30度を超えるとの予測から、当初予定していたJR宇都宮線東大宮駅を出発点とすることを変更して、参加者にはバスで春野図書館に行って頂き、そこを起点にして観察会を実施することにした。参加者は東京から来た方もおられるなど総勢80名となった。9時30分に集会を行い7班に分かれて出発した。観察地の丸ヶ崎・深作水田地帯は、整然と耕地整理された水田が広がるが、既にほとんどが稲刈りを終えており、田圃では籾がらを焼いた所や稲藁を燃やしておりその燻りの香が漂っている。休耕田に生えているガマ類やヒエ類が遠くから目に付く。

ここは、さいたま市見沼区の北部にあり西側に上尾市、北側に蓮田市と接している。江戸時代享保年間(1716−36)見沼代用水の開削により用水源としての溜井が不要となり、溜井は干拓されて開発される。水田と北側を流れる綾瀬川の間にある微高地には江戸期以来の新田集落がある。また、利根川から取水した見沼代用水が上尾市内で東縁・西縁へと分かれる分岐点があるが、代用水東縁はこの地域の西側を流れている。

 今日の自然観察ハイキングコースは、春野図書館―深作川井川歩道橋―丸ヶ崎水田―綾瀬川馬喰橋―岩槻支台地―綾瀬川馬喰橋―深作水田―深作川関前橋―深作川遊水池A・Bである。

 図書館を出発して、深作川沿いには、イネ科のアキノエノコログサ、チカラシバ、カゼクサ、セイバンモロコシなどが生い茂っている。そこにはイナゴなどの昆虫類がおり、赤トンボも飛んでいる。橋を渡った所で野鳥に詳しいリーダーの小蜂氏からガマの生えていない川面に差し込まれている1本の木の枝がカワセミの止まり木であり、餌捕りの場であることを教えて頂く。これが自然のものではなく愛好者が備え付けたものと聞いて目を丸くする。この水田地帯で、開花中の野草は、事前調査で確認した種で94種あり、そのうち帰化植物は23種あるが、このほとんどは観察会においても確認された。また、この地域にある絶滅危惧種7種 ― アサザ、オオナンバンギセル、カキツバタ、サンショウモ、タコノアシ、ヒシ、ミズワラビ ― を観察しているが、ユキノシタ科のタコノアシは、事前調査では確認できなかったのだが、当日班により3株ほど確認された。

 乾いた刈田で、そこにあるイネの切り株の本数を調べてみると18〜20本あり、それが2〜3本の苗から増えた結果であること、穂には100個前後の籾が付いていることなどが話題となる。また、アマガエルやトウキョウダルマガエルが刈られた稲葉の中に潜り込んでいく。休耕田の一角には、コガマの穂があったが、まだ多くが穂綿の飛び散るまでには至っていないが、一本だけ手で揉むと穂綿がむくむくと解き離れ風に乗って飛んでいくのが観察され、誰かが「因幡の白うさぎ」を歌う場面もあった。ここではまた、ニオイタデが紅色の花を付けており、背の高いマツカサススキがある。水辺や湿地にあるイボクサ、キクモ、コナギ、アメリカアゼナなどが可憐な花を付けている。土手が草刈りされており、お目当てのシロバナサクラタデも刈られたのではと思ったが、近付くと2本ほど残っており、じっくりと見ることができた。綾瀬川の馬喰橋近くの左岸でヒガンバナを期待したが残念ながら見付からなく、右岸の手前の道の脇に数本の蕾を付けたものを見付けたにすぎない

 綾瀬川の右岸では、リーダーの小蜂氏が設置した望遠鏡で川にいるコチドリやイソシギの生態を観察する。木陰には蚊がおり血液を提供した方もいたようである。

 コースの最終に近い深作川遊水池Aでは、アサザの黄色い花、ヒシの小さな白い花が咲いていた。ヒシは水面を覆い尽くすように広がっている。また、遊水池Bの小川には、小魚が元気に泳いでいたが、その種はメダカか、カダヤシかで話題になっていたが、採取して調べるとカダヤシであることが判った。

 暑い中での観察会となったが、様々の自然との出会いがあり12時半頃には全員無事終了することができた。

   (くらぶ会員:若野忠男)

 

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第21回 自然観察ハイキング

平成17年4月23日(土)

見沼グリーンセンター周辺

《市民の森の中を散策》 第7回総会が市民の森「グリーンセンター」中会議室で行われた後、11:00から会員・非会員合わせて 24名が参加して観察会が始まりました。5月中旬を思わせる少し汗ばむすばらしい天候に恵まれ、両手を大きく広げ深呼吸するとすがすがしい気分になりました。観察会は4班に分かれて、市民の森の中にある「熱帯植物展示温室」と「リス園」を見学した後、中央の芝生広場で昼食を取りました。食事中に少しあった風も市民の森を出発するころにはすっかりおさまっていました。

 

《いよいよ自然観察に出発》 市民の森から見沼代用水西縁を上流に向かって歩き始めました。足元には春を待ちわびたカラスノエンドウ、オランダミミナグサ、コハコベ、イヌムギなどの野草が次々と花を咲かせ、私たちを迎えてくれました。顔を上に向ければハルニレ、ケヤキ、シンジュ(ニワウルシ)などの樹木が新芽を出し、ハナミズキは白花・紅花ともに満開でした。

 

 神明神社に着くと、入り口には大きなクスノキやスダジイの巨木があり、その奥に静かに本殿が建っていました。その左側にまわると「土呂の大杉」について記した石碑があり「土呂の大杉は神明神社の御神木で(中略)樹高26メートル目通り7メートル四方に張り出した枝は500畳にもおよぶ。(中略)大正15年2月19日に天然記念物として県に指定されました。(中略)大日本老樹名木誌によれば、源義経が蝦夷地に渡る以前にこの村を通り (中略)景色を眺めながら昼食をとり、そのとき挿した箸が芽を生じ大杉となった(中略)いわゆる箸立ての杉の代表的なものである」(以下省略)と碑に刻まれていました。
 神社の裏には小さな公園があって、そこに鬱金(うこん)桜の木が2本ありました。少し盛りが過ぎていましたが、まだまだその美しさを誇っていました。


 
《林の中は春がいっぱい》 市民の森の北縁にある防風林の中は黄色い花のじゅうたんを敷いたように華やかでした。ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、ミツバツチグリ、それにヤブタビラコ、カタバミ。6月ごろにはヘビイチゴやヤブヘビイチゴの赤くて丸いイチゴのような実で真赤になることでしょう。防風林を構成している樹木は常緑中高木のマテバシイと落葉高木のメタセコイアです。両方とも新しい芽を出してとても元気でしたが、マテバシイは枝が切り落とされていてとても痛々しい姿でした。


 芝川に出ると、まだ北に帰らないコガモの夫婦を見かけました。コースは鷲神社から大和田2丁目にある天神山公園の林に入りました。地面にはタチツボスミレ、ツボスミレが咲き、ホウチャクソウ、アマドコロがつぼみを大きく膨らませて今にも咲きそうでした。目を上に向けるとウワミズザクラが白い
シのような花をたくさん咲かせていました。


 
《残念! コオニタビラコ無残》 いよいよ見沼田んぼに出て、今日の目玉である「コオニタビラコの群生地」に向かいました。しかしすでに始まった田起こし作業ですっかり耕されてしまい、群生は消滅していました。これも春の大切な作業なので仕方ありません。来年まで待つことにしました。3時間に及ぶ長い観察会でしたが、第4班の説明役を務めさせていただいた者として、熱心にそして楽しそうな皆さんの様子にほっと胸を撫で下ろしました。  

  [白いブラシのようなウワミズザクラの花]                     (くらぶ会員:小原邦彦)

 

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第20回 自然観察ハイキング

平成17年3月26日(土)

新見家の長屋門から大和田の五葉松まで

平成17年3月26日(土)、快晴。早朝は霜の降りるほどの寒さであったが日中は暖かな日差しに恵まれた。大宮公園駅前に集合した参加者26名と指導員7名、合計33名は3グループに別れ9時過ぎにスタートした。


 私のグループ10名全員は山登りを楽しむ会の仲間ということでしたが最後にわかったことですが新潟県六日町の学校の同級生で関東に住む人たちでした。したがいまして和気藹々のムードでした。さいたまの方は一人で他の方々は遠く新津市から新幹線できた方や中野区・世田谷区・はじめ前橋市・柏市などあちこちからおいでいただいた方々でした。


 東武線の踏切を渡りはじめに盆栽村を見学する。次いで新見家所有の百体庚申社は岩槻の彫物師が17年かけて作ったそうです。しばらく畑の中を歩くとミドリハコベ・ホトケノザ・ヒメオドリコソウなどの春の花が見られたがまだ花が少なく昨年より春が遅い。新見家の長屋門は道路工事現場に面していて車が行きかうようになるとどうなることか思いやられる姿でした。新見家の脇の斜面を下っていくと道の両サイドは赤土の関東ローム層がむき出しになっておりじっくり見学できた。


 低地に下ると見沼代用水西縁にでる。水は芝川よりきれいだが生き物の住めないコンクリート3面護岸を見てもらう。帰化植物のミチタネツケバナがやたら多い。用水を渡り見晴公園の風車台にのぼると眼前に見沼たんぼが広がり遠くの斜面林と宅地開発されたまだら模様が見える。何人かのかたから感激の声が上がる。


 市民の森で休憩した後、公園内を散策しリスを見る。桜のつぼみはまだ固い。鷲山橋を渡り芝川沿いに左岸を歩く。生活雑排水が流れ込んでいるため先ほどの見沼代用水より水はきたないが、ヨシなどの植物もあり鳥も見られる。冬鳥はほとんどシベリヤに帰ってしまったがコガモがまだ残っていた。その他カルガモ・バン・カイツブリ・ハシビロガモなどもみられた。


 石橋を渡りたんぼに入ると菜の花畑(セイヨウアブラナ)の黄色が目にしみるほどの鮮やかさ。空にはヒバリがにぎやかに乱舞する。一部田植えの準備で堀返されていた。また野草に覆われた休耕田もあった。
 体育館の入口付近ではカントウタンポポが頑張り、斜面林近くにはヒメスミレが可憐な姿を見せていた。第7調節池の斜面には湧水が染み出ておりクレソンがみられた。12時を過ぎここで昼食をとった。男性から新潟のにごり酒と新潟の女性から松前漬の差し入れあり。


 1時前に再び歩きはじめる。大和田緑地公園ではアカシデの赤い芽が出、イヌシデの緑がかった芽もでてはっきりと区別が出来た。
また林内にはウグイスカグラが花の少ない今目立っていた。雑木林の若返りの目的で行った間伐と昨日の幼樹の植樹の話を皆さん興味深く聞いておられた。大和田陣屋跡は岩付城と寿能城の結ぶ地点にあり土塁が残されている。その先の畑のこんなところにと思える地点に1等三角点補がある。標高18.8m、大宮台地で1番高いところでした。その後再び東武線をくぐり五葉松で有名な西と東の両戸山家を見学させていただき2時過ぎに終点に着いた。「楽しかった」と感想をいただき、「また来たい」との声に励まされる思いでした。  

  [菜の花を楽しみながら第7調整を目指します] 

                              (くらぶ会員:稲葉孝夫)

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第19回 自然観察ハイキング

平成16年11月 6日(土)

東浦和駅から さいたま市立病院

 

 11月6日。くもり。 東浦和駅前ロータリーでの「はじめの集い」が終り、9時20分観察行スタート。
 駅前の信号を渡って武蔵野線路沿いに坂を下ると、右手のフェンスにからまる蔓性の実が出迎えるかのよう。まず小粒でブドウ色したのがアオツヅラフジ、色とりどりに並ぶのがノブドウ、薄茶色のヘクソカズラもある。足下に茂る低木の、グミに似た真っ赤なのはクコの実だ。


 見沼代用水西縁に沿って好奇心いっぱいに進むと、明の星学園側一面にシャクチリソバが白い花ざかり。ふつうのダッタンソバは刈り取り期であるのに。やがて民家園について小休止。陽ざしが出て、気分も軽やかになる。


 民家園を後に、大崎の焼却場を右手に野道を代用水路東縁へと向かう。途中に落花生畑があり、この作物の実の成り方の不思議さに一同感じ入る。前方水路の橋の上に人だかりがあり、のぞくとシジミ取りに夢中の男三人、傍にバケツ2杯余の獲物がある。利根川の水が育てたものか、大漁に驚く。


 太子堂に立ち寄り「ワニグチ」の綱を試してから「緑のトラスト1号地」へ。トラスト保全地と隣接のモウソウ竹林の間道はすがすがしく、思わず深呼吸したくなる。


 国昌寺に着き、やっと昼食にありつける。ゆっくり休んで、再び見沼田んぼを横断し代用水西縁端の氷川女体神社へと向かう。途中、芝川上空にアオサギが一羽、アクロバット飛行よろしく、反転をくり返し注目を浴びる。


 氷川女体神社には常緑広葉樹がうっそうと生い茂り、なかでもクスノキ、タブノキ、シラカシの大木は貫禄十分で、神宿るの趣がある。どこの中学生か、社前は写生教室の子供たちで賑やかだった。


 神社を出てしばらく家並みの間をぬけ、再び西縁水路端を歩く。対岸の斜面では宅地造成中の重機が唸りをあげるが、此岸にはセイタカアワダチソウやオギの花穂が道案内をしてくれる。


 やがて終点の市立病院につき、敷地内で班ごとに「散策まとめ」を行う。松戸市からの婦人が、またの機会にもぜひ、との感想を のべ、再会を願って共ども笑顔で解散した。
                「左甚五郎作といわれる竜の欄干がある 国昌寺の門]

               (横溝浩安)      

 

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第18回 自然観察ハイキング

平成16年 9月 4日(土)

見沼 自然公園から 見沼くらしっく館

 

黄金の稲穂と緑豊かな斜面林のコントラストに感動」雨天と言う天気誤報が災いしてか、参加者は37名に止まった。
 5班編成で、1つの班に自然観察指導員2名が5〜6名を受け持つ小グループ行動となり、行き届いた自然解説ができて、大変好評だった。
当地は見沼田んぼ本来の里やまが色濃く残り、黄金の稲穂と緑豊かな斜面林のコントラストには参加者一同感動した。


 深井家長屋門や井上住宅、旧坂東家藁葺屋根の江戸時代の家並みは言い得ぬ風格があり見応えがあった。見沼を開拓した井沢弥惣兵衛の記念碑の建つ萬年寺にお参りすると、江戸中期の見沼にタイムスリップした思いだ。
 当地の斜面林は、コナラ・クヌギを高木層の優占種とする典型的な雑木林で、在来種で占められ、移入種の入り込む余地がない。


「見沼ファーム21の水田にコバネイナゴやミズワラビが」 加田屋新田の一角にある見沼ファーム21のボランティア水田は素人とは思えぬ見事な出来栄えだ。同会の代表島田由美子さんが出迎えてくれ、水田ボランティアについて説明をいただいた。驚いたことには、コバネイナゴが飛び、絶滅危惧種Ⅱ類のミズワラビが胞子葉を広げていた。無農薬の水田の証しである。


「植物文化史―人と植物との関わりに興味」 深井家長屋門の側にあるタラヨウの木の落ち葉の裏に字を書いてもらった。紙が希少な昔、小坊主などはこの葉にお経を写したのだ 。これが郵便葉書の語源。


イラクサ科のカラムシは、茎を蒸して皮をはぎ、繊維をとったのでその名がある。


“ひっつき虫”などと言われ、嫌われもののオオオナモミの実が、実はマジックテープ発案の立て役者。
 実際の樹木や野草に触れてもらい、人と植物との関わりを紹介すると、皆さん興味を持ち、姿形を入念に観察し、本当に嬉しそうだった。

       (理事:小野達二)      「 冬、多くのカモたちが飛来する見沼自然公園の池]

 

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第17回 自然観察ハイキング

平成16年4月17日(土)

見沼見聞館から中山神社

 

大宮南部浄化センターでの総会後の自然観察ハイキングは、22名が参加して行われました。

(1)「芝川低地の平地林の名残」として、センター駐車場の西端にエノキ、クヌギ、コナラ、ハンノキ、ムクノキが取り混ぜて10本ほど一列に並んでいます。このわずかな樹木が、かつて農家の屋敷と田圃の境目にあった平地林の名残なそうで、教えて貰うまで全く分かりませんでした。エノキの泡粒のような花と、クヌギやコナラのかんざし状の花を見上げ、かつての里山の春を偲んでみました。

(2)「芝川」に出ると、緑濃いイヌムギやネズミムギを背景に咲くタンポポやセイヨウカラシナの黄色い花が一段と鮮やかで、スギナの中でも目立つカラスノエンドウの花、よく見なければ見落としそうな足元のスズメノエンドウの花は、全く対象的でした。枯れたアシやセイタカアワダチソウの茎が立ち残り、冬鳥のツグミやコガモ、ヒドリガモが居残っていても、土手を彩る緑の景と、上空を飛ぶツバメや、頭の飾り羽根を長くしたコサギたちは、一足早い初夏の訪れを告げているようでした。                [写真は胸の斑紋が美しいツグミ]

(3)「上山口新田の見沼田圃」では、殆ど田起しが終わり、田圃ではカワラヒワ、ハクセキレイ、ムクドリたちが餌を啄ばみ、空にはヒバリが囀り、遠くに円蔵院の瓦屋根と大きなイチョウの木が見渡せます。        
しかも田圃には送電線など視界を遮る物が無く、この見沼田圃は広くゆったりとしています。但し、建設中の高速道路が完成すると、上山口新田の芝川沿いの風情は味気無くなりそうです。それに以前から田起しの時期になると、除草剤を散布して草を枯らす方法が定着し、今年も多くの畦道が赤茶気た姿を晒していて、自然と共生可能な農業は未だ遠しとの感を受けました。それでもなんとか春の七草の内、セリ、ナズナ、オギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ(コオニタビラコ)の五草と、コイヌガラシやノミノフスマなど合計20種類程の野草の花を楽しみました。なんと言っても春の田圃は自然観察の楽しみの場と言えます。

(4)「円蔵院」の境内では、樹齢100年余りのシダレザクラが、ちらほらと褪せた花を残すだけでしたが、そこにはヒメスミレやタチスボスミレが咲き、ハランが半分土に埋もれた状態の地味な花を沢山咲かせていました。ハランの受粉はナメクジの仲介によるとのことで、植物の環境適応能力の凄さに唯々感服するのみです。ナメクジがハランの花粉を食べに来るのを見たいものです。一方樹齢400年余りの大イチョウが雌花(胚珠丸出しの裸の子)を無数に付け、季節が初夏に移り変って行くのを感じました。

(5)「中山神社」の参道では、長い釣り糸を垂らしたウラシマソウ、蕾が膨らみつつあるアマドコロやウワミズザクラを観察し、ひんやりと涼しい神社の境内では、シカラシ、アカガシ、ウラジロガシや、サカキとヒサカキの違いを観察しました。私の知る範囲では、大宮台地でシカラシ、アカガシ、ウラジロガシを同時に観察出来る場所は他に無く、そういう意味からも、中山神社の境内林は貴重だと思っています。一般参加者の中には地元の方もいて、「身近にこんな素敵な観察コースがあるとは知らなかった。」との感想を頂けたのも収穫でした。                             (くらぶ会員:小林正治)

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第16回 自然観察ハイキング

平成16年3月27日(土)

見沼代用水西縁と大牧自然緑地&氷川女体神社

 

 平成16年3月27日(土)、前日までの不順な天気と違い、こよなく晴れた青空の下、自然観察会が催された。

 今回は、東浦和駅に集合し、見沼代用水西縁に沿って、南から北へと歩き、途中、見沼氷川公園で昼食をとり、さいたま市立病院前までの約6kmを歩く自然観察会である。各自、弁当を持参し、午前と午後に亘る観察会を実施したのは、今回が二度目である。参加者40名が、6班に分かれ、東浦和駅前を出発した。

 最初に訪れた大間木氷川神社では、大木のスダジイや、シラカシ、サカキとヒサカキの違い、「あ・うん」の呼吸で神社を守る狛犬、大宮氷川神社の旧本殿を移築した優雅な流れ造りの本殿等を観察した。

 次に訪れた清泰寺では、六地蔵尊、垣根のように並べられている351基もある庚申塔、門扉に葵の紋がつけられた見性院の墓等を観察した。この寺は、慈覚大師が開山した天台宗の寺で、武田信玄の息女見性院(徳川二代将軍秀忠の子の乳母)の霊廟がある。

 途中、街路樹として植えられた桜並木が、無残に枝を切られている状態を見て、街路樹としての適正な樹木を植えるべきであると思った。

 屋敷林には、大きな桐の木が育ち、昔ながらの農家の面影が残っていた。

 見沼代用水西縁に出ると、七分咲きの桜並木に感動した。桜のトンネルを歩く気分は爽快であった。春ののどかな水の流れと、川沿いの散歩道に咲いているホトケノザ、ヒメオドリコソウ、カントウタンポポ、ショカツサイ、遠くの畑には、菜の花、花モモ、レンギョウ等が咲き乱れていた。ベニシジミ、ヤマトシジミ、キタテハ、アカタテハ等の蝶もひらひらと飛んでいた。散歩道には、ヒヨドリが花の蜜を吸うために、花ごと食いちぎった桜花が落ちていた。皆んなで、ヒヨドリになった気持ちで、花の蜜を吸ってみようといい、桜の花を吸ってみた。ほのかに甘かった。

 大牧自然緑地に着いた。ここは、昨年、さいたま市みどり愛護会が雑木林の常緑樹を伐採し、暗い林から、明るい林として、作り変えた所で、以後、毎月1回第4土曜日の9時から雑木林の保全活動を行ってきている所である。たまたま当日は、活動日に当っていたので、支部長の東川氏をはじめ、多くの活動メンバーが我々を迎えてくれ、案内していただいた。この林は、シデ、クヌギ、コナラ、アオハダ等を主体とした落葉広葉樹林で、高木が多く、中低木が少ない。今後、このまま管理して行けば、よい林となると思われる。

 「案山子」の記念碑のある見沼氷川公園は行楽客でごったがえしていたが、ここで昼食をとった。

 昼食後、氷川女体神社の社叢を見学した。タゴノキ、クスノキ、ヒマラヤスギ、モミノキ等の巨木をながめ、モミノキに寄生するマツグミや、チョウジカズラ等を観察した。                  [写真は見沼との関わりが深い氷川女体神社]

 神社を出て、途中の道で、ツゲとイヌツゲの違い、シナレンギョウとレンギョウの違い、ウグイスカズラ等を見ながら、荒川右岸に出た。ここでは、キジ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメ、ハシボソガラス、キジバト等が、立枯れのアシやオギの実をついばんでいた。

 再び、見沼代用水西縁に出て、ミズキの緑色の芽吹き、道ばたに咲く、カキドウシや、イモカタバミ、ツクシ、遠くに見えるポプラのような形をした武蔵1号のケヤキの植栽、オニグルミの大木を観察しながらさいたま市立病院に着いた。春の暖かい日ざしに包まれ、桜の花や花木が咲き乱れる散歩道をゆっくり観察でき、参加者一同は、大変満足した様子であった。

 集合と出発の時間が不明確であったとの指摘もあったが、リーダーの的確な説明があり、他の観察会にない経験ができ、大変楽しい観察会であったとの評価を受けた。
                              (運営委員:長澤善則)

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第15回 自然観察ハイキング

平成15年11月8日(土)

大宮の芝川低地&斜面林

 集合場所は、東武野田線大宮公園駅前。駅のご好意で机を借りて受付を開始しました。参加者57名(男28名、女29名)内指導員8名。今日の企画・指導を担当する自然観察さいたまフレンドの小野会長の挨拶のあと見沼の自然と史跡を訪ねて6班に分かれて出発しました。

 埼玉唯一の風致地区盆栽村の東部、民家の間の細い道を、産業道路ぞいにある猿100匹の石像が整然と並んで祭られている小さな百体庚申社に向かいました。ここでは、シラカシ、イイギリ、ムクノキ、クヌギ、コナラ、エノキ、ウワミズザクラ、ガマズミ、ヒサカキ、ミズキ、ナンテン、クサギ、クリなど雑木林が広がり、ヒヨドリジョウゴの赤い実、紅葉したナツヅタ、イイギリの赤くたわわな実、黄色いイチョウ、カキの実などが目に付きました。

 産業道路をわたり、広がる畑の向こうに新見家の長屋門とそれに続くシラカシの高い防風林があります。屋敷の南側に防風林があるのは台風対策らしい。道端には、アキノハハコグサ、チチコグサモドキ、オッタチカタバミ、ハナイバナの花がみられました。

 見沼代用水西縁に出て、見沼たんぼが広がるなか風車のある見晴公園を目指しました。ここは、ウオーキングコースとして整備され、両側にはハナゾノツクバネウツギ、アメリカハナミズキ、ヒイラギナンテン、サルスベリ、ロウバイ、ナンキンハゼ、シンジュ、オオバイ、ドイツトウヒ、ミヤギノ、ハギ、ビヨウヤナギ、アキニレ等が植裁されています。見沼代用水西縁には水が豊かに流れていますが、コンクリート三面舗装の放水路のため残念ながら動植物は育ちません。

 『市民の森』で小休憩をとり、川の原形が残る芝川の鷲山橋をわたり、鷲神社にむかいました。境内はムクロジ、スダジイ、シラカシ、ヒノキ等の大木で鬱蒼としています。足下には、スジダイやムクロジの実が沢山落ちています。御手洗いの水でムクロジの実の皮を石鹸のように泡立てて手を洗うとさっぱりしました。葉が笹にそっくりのササクサが黒い果穂つけて沢山ありました。

 鷲山橋まで戻り芝川左岸を大和田2丁目緑地の斜面林に向かいました。途中白い花びらをもつシロノセンダングサを見付けました。それまで見たのはコンセンダングサばかりでしたので嬉しくなりました。土手には空色の実をつけたイシミカワがいい感じに繁っていて、ひどいトゲもなんのその、それを摘み取っているひともいました。ここは、次にいく大和田緑地公園斜面林とともに、“みどりのボランティア”さいたま市みどり愛護会によって豊かな自然が守られています。アカシデ、イヌシデ、クヌギ、コナラ等の高木は、冬には葉を落として明るい林になって林床をあたため、時と場所を得て、いろいろな植物や動物が生きていけます。キンミズヒキ、ヌスビトハギ、マンリョウ、ヤブコウジ、サワフタギが実をつけていました。

 芝川左岸の土手からは、白く輝くオギの穂や、川水の浄化を助け川面を隠す程にしげったヨシがみえます。水鳥のバン、カイツブリ、カルガモたちの巣もこの中にあるのでしょう。そろそろ冬鳥たちがこの芝川にやってくる頃です。この後、大和田緑地公園で、一部の人がアカゲラを見たそうです。参加者全員が見られなかったのは残念でした。            

                           [写真はアカゲラ]

 大和田陣屋跡の屋敷林と土塁をみてから、大宮で一番高い海抜18.6mの一等三角補点を確認して、さいたま市の天然記念物大和田の五葉松に向かいました。大和田駅にいく道ぞいの、2軒の個人のお宅の庭に、一本ずつ立派な姿の良い五葉松があり、自由に見せて頂きました。

 今日は約7キロのコースでしたが五葉松を見た後1時過ぎに解散となりました。お天気に恵まれ、のどかな秋の自然観察ができました。    (くらぶ会員:若野美智子)

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第14回 自然観察ハイキング

平成15年9月6日(土)

美園緑地から民家園へ

 第14回自然観察ハイキングが、見沼たんぼの南部地域を対象に9月6日(土)自然観察さいたまフレンドの企画・指導により実施された。

  集合場所の埼玉高速鉄道「彩の国スタジアム線」浦和美園駅では、駅の好意により改札口の前に机と椅子の提供があり受付けが容易にできた。また、資料等については、地方自治体、埼玉高速鉄道、埼玉スタジアム2002からの提供もあり通常よりは相当多いものとなった。参加者は54名であり、その内訳は会員17名、会員外37名である。小野会長及びさいたま市企画調整課・主査、長谷川俊正氏の挨拶のあと、6班の編成により出発した。各班の指導員は自然観察さいたまフレンドのスタッフが担当した。

  良く晴れており暑さが厳しくなりそうなことを予想しながら、最初の圓徳寺へ向かう。途中には農家の屋敷林や道端に沿って背の高い椿等の垣根が続き、蝉の鳴き声が賑やかに聞える。椿の葉にはチャドクガの幼虫がいるところもあったが、かぶれた人がいなかったのは幸いであった。木には所々にカラスウリがからまり、しぼんだ白い花がまだついている。圓徳寺の墓園の土手にツルボを見付ける。葉は小さく、茎のさきに薄ピンクの花穂を付けたのが陽をうけて美しい。さらに進むと美園第3緑地では、大きなケヤキやムクノキの根元には生け花の材料や寿司の飾り等に使用されるハランがある。直ぐ近くの東北自動車道の騒音が聞えてくる。ここは雑木林の中で蚊が多く、その餌食となるのを避けて、私たちは足早に通り過ぎる。再び陽のさす埼玉スタジアム2002に向かう道に出ると汗ばみ、喉の乾きを感じる。そこは右側に鉄道の操車場があり、左側を流れる小川には小魚が数匹泳いでいる。小川の縁に咲くクサギにはアゲハやハチが蜜を求めて飛び交っており、その近くにはフジに覆いかぶさったクズに花が咲いている。

  次の美園第2緑地の竹林の中に入る。歩道のそばにはシラカシの実生の若木が多く生えるが、そのうち日光不足などで淘汰されるだろう。日陰で涼しいのだが蚊に追われるのでここでも足は早くなる。

 埼玉スタジアム2002に着き一息入れる。東北自動車道のガードをくぐり、次の鷲神社へ向かう。鷲神社は奥州街道(後の日光御成街道)の西側にあり、その社叢は市から「ふるさとの森」に指定されている。社伝によると、平安期、兄八幡太郎義家を援けようと、新羅三郎義光が奥州街道を北上する途中、当地において奇瑞を感じ、そこで神楽を奏上し、跡地に祠を建て鷲明神を祀ったという。これは11世紀後半のことであり、当時この地域が奥州への交通の要所として重要な地位を占めていたことが解る。社は木立ちに囲まれヒンヤリとしている。第6班からの報告では境内に大きな青大将が居たとのことである。

  ボタン園のある総持院の前を通って国昌寺に向かう。水量の多い見沼代用水東縁の川面に糸を垂れる釣人がいる。釣りの対象はモロコだ。ハグロトンボが飛んでいる。1230分頃昼食場所の曹洞宗の国昌寺に着く。この寺の開山も16世紀と総持院と同時代である。境内にある「開かずの門」の欄間の竜の彫刻は、左甚五郎作と伝えられ、見沼の竜神にまつわる伝説の起因ともなっているという。本堂前のセンダンバノボダイジュは既に実をつけているが、開花期の7月上旬に撮影した美しい黄色の花の写真を中信会員から見せてもらう。境内の木陰などで思い思いに食事をすます。出発時に依頼してあった「自然環境に関する意識調査(さいたま市・国土交通省)」提出のお願いをする。

  1310分陽射しの厳しい中を再び東縁に沿って歩き出す。カラムシの葉が毛虫に食べられてボロボロになっているのが多い。土手にツルボが多く生えているところにまた出会う。国道463号のところで東縁と別れて太子堂に向かう。途中ツルウメモドキにオレンジ色の実を幾つか見付ける。太子堂では鰐口の澄んだ響きを聞く。

  植木畑の道を進む。カリン、ミカンの実はまだ未熟であるが、クリはいがが割れ始めており、サンショウの実は色付いている。やがてこんもりとした社にある木傘神社に着く。ここは日本武尊が東征の途中、この地で時ならぬ雹にあい大木の下でしのいでいたが、いよいよ激しくなったので、木の下で雹除けの祈誓をすると、たちまちにして晴れ渡った、という伝説がある。木陰でしばしの休憩のあと陽の照る植木畑の道に戻る。やがて東縁にまた出会うと、クリーンセンターの煙突が目の前にある。隣接する見沼ヘルシーランドの前を通るが、ここには大浴場があると聞かされる。国道463号に面した終着点の浦和博物館民家園には1430分頃に到着した。木陰も多くあったとはいえ、炎天下7キロ強の行程でやや疲れた方も多かったと思われるが、解散後、武蔵野線東川口駅までさらに歩くといって元気に出発したグループもあった。

(くらぶ会員:若野忠男)

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第13回 自然観察ハイキング

 

平成15年4月19日(土)

春の七草を探しましょう  

 

 平成15年4月19日(土)「見沼たんぼくらぶ」の第5回総会が大宮南部浄化センターの会議室で行われたあと、館内の「みぬま見聞館」と庭に造られている「ビオトープ」を見学し、昼食を摂り、12時20分、自然観察会に出発した。この自然観察会は、「見沼たんぼくらぶ」の各種活動計画の一つで、年2〜4回開催されるものです。

 

     [出発前のミーティング]

今回のコースは、この大宮南部浄化センターを出て中川橋を渡って芝川の左岸の堤を歩き、山口橋を越えて田んぼの中道を歩いて円蔵院で一休みした後、中山神社に至る約3㎞の平坦な道です。集まった方々は、会員25名、会員外4名、案内役の指導員が8名の総勢37名。これを4班に分けて出発。天候は薄日のもれる、やゝ肌寒いがハイキングには絶好の日和の観察日となりました。  

  まずいつも話題となる「タンポポ」の種類の見分け方とそれぞれの棲み分けについて、自然観察さいたまフレンド会長の小野達二さんから「帰化植物のセイヨウタンポポは総ほうの外片が反り返っているのに対して、在来種のカントウタンポポは反り返らず総ほうに三角状の突起があることで見分けがつくとのこと。また棲み分けは、土壌の酸・アルカリ度によるところが大きく、予め測定してみたところセイヨウタンポポは酸・アルカリ度(PH)が7.2の弱アルカリ性。カントウタンポポはPHが6.8の弱酸性だったとのこと。

 

                [元気に出発!]

このことから、コンクリート道路脇はセメントによるアルカリ化でセイヨウタンポポの棲みやすい条件となっており、従来からの畑地や堤防などは弱酸性でカントウタンポポが生育しやすい条件になっている」との説明がありました。芝川の水面を見ると、カルガモが気持ち良さそうに浮かんでいました。もうじき可愛い雛を連れて歩く楽しい風景が見られるでしょう。冬にはいっぱいいた他のカモたちは既に故郷に向けて旅立ってしまったので、めっきり寂しくなりました。  

   さて、副題となっている「春の七草を探しましょう」については、参加者全員に配布されましたパンフレットに「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハクベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、これぞ七草」と書いてありました。セリはセリ、ナズナはペンペングサ、ゴギョウはハハコグサ、ハクベラは在来種のハコベ(ウシハコベではない)ホトケノザは黄色の花を咲かせるコオニタビラコのことで、紫色の花を咲かせるホトケノザでは無いので注意。スズナはダイコン(大根)で、スズシロはかぶら(蕪)のことで、この二つは畑で作られている野菜。

 さて、ナズナやハコベはすぐに見つかるポピュラーな草。セリは田んぼの縁や畦道に生えていて少し探せば見つけられる。ハハコグサは庭先でよく見かける草。でも、コオニタビラコはとても見つけることが難しい。何処にでもあるという草ではないらしい。数日前に行なった事前調査で偶然このコースで見られることがわかり、安心して七草探しができました。そこは、田んぼの畦道で、前後の畦は除草剤で黄色に変色しているのに、ここだけは青々していてその中に黄色の小さな花を付けているコオニタビラコはひときわ美しく見えました。  

  コースは円蔵院へと進み境内で一休み。ここには珍しい「ハラン(葉らん)の花が根元の土の中で咲いていました。普通には見られない花だけに、この観察会に参加してくださった方々に良いお土産になったのではと思います。この境内には市指定の「円蔵院の大イチョウ」がどっしりと根を下ろしていました。樹高26m、目通り4mということですが、そばで見るとそれ以上の重圧感があります。丁度つぼみが膨らんで今にも咲きそうでした。この花がみんな実を結んで「ギンナン」になったらさぞかし重いだろうなあ、思わず「がんばれ〜」と声をかけてやりたくなりました。

[円蔵院の大イチョウ]

    ひと休みのあと、「中山神社」に向かいました。この神社は大宮の氷川神社(男躰宮)、浦和三室の氷川女躰神社(女躰宮)の中間に位置する氷川神社なので、通称「中氷川神社」と呼ばれているとのこと。この神社の鳥居にかかっている「注連縄」は珍しく、注連縄を編んだ時に出る藁片をそのまま残されています。何のためなのでしょうか。どんなご利益があるのでしょうか。この中山神社に到着したのは、出発してから約2時間あまりの午後2時35分。それぞれの班で、しめくくりのミーティングを行い、三々五々解散しました。リーダーの方々に御礼申し上げます。

 [中山神社の注連縄]

(くらぶ会員:小原邦彦)

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 第12回 自然観察ハイキング

平成15年3月29日( 土)

東沼神社から見沼通船堀へ

 見沼たんぼくらぶ主催、自然観察さいたまフレンド企画・指導による「自然観察ハイキング・見沼の自然と史跡を訪ねて−東沼神社から見沼通船堀へ−」が3月29日(土)実施された。

  集合場所のJR武蔵野線東川口駅は朝肌寒く小雨も降る状況であったが、事前の主要マスコミによるPRの相乗効果もあって、さいたまフレンドの指導員スタッフを含めて95名となる多数の参加があった。幸い、スタート時には雨も上がり薄日がさすようになり気温も徐々に上昇して観察日和となった。

 観察は7班に分かれて、駅北口から線路沿いに西に向かって出発する。道の左側は線路の土手に接するが、そこにはカラスノエンドウ、ヨモギ、オランダミミナグサ、ナズナ、ノビルなど極くありふれた道端の野草が生えている。右側の住宅地にはムスカリ、ミツバツツジ、ヒマラヤユキノシタなどが見える。更に進むと植木農家では出荷用に荷造りの苗木が道端に置かれている。苗木畑の中に突然広い道路ができ宅地造成されそうなところもあるが、自然はまだ多い田舎道を歩く感じである。ハクモクレン、モモ、オトメツバキなどが盛りを迎えており、また道端にはカントウタンポポ、ノゲシの黄色い花も見られる。前方に常緑樹の林のあるところの神社がある。地図には春日神社の表示であるが、近所では「八幡さま」と呼んでいるとのことであるが詳細は解らない。ここにはクロモジュ、レンギョ、ヒョウガミズキ、フクジュソウ、スイセンなどが黄色の花を良く咲かせている。その奥の屋敷林にはシキミの花が見られた。

 東北自動車道の下の地下道を通って、さらに進むと差島ふれあいの道につく。突き当たりの中央にはシダレザクラが7分咲き程度になっており、これまでの道で見掛けたソメイヨシノはやっと咲き始めたばかりであるのに比べて華やかな春を感じさせるものとなっている。左折すると歩道の両側には黄色い花のヒュウガミズキの植え込みが続き、サザンカの花はまだ咲き残っている。     

                〔写真はキジバト〕

直進すると見沼代用水東緑に達するが、この東側の高台に東沼神社がある。ここには在来種のミミナグサがあり、帰化種のオランダミミナグサと比較することができた。この近くでカワセミを観察できた班もあった。東沼神社の創立年は解らないが、中世に遡ることができるようである。江戸時代には、浅間神社と呼ばれていたが、明治22年の周辺の7社の合祀により現在の社号に改められている。現本殿は昭和62年に竣工されたものである。境内の西側には富士塚があるが、江戸時代に地元差間の富士講の人々によって築かれたものである。境内にはカンヒザクラ、ヒサカキ、アセビが咲いており、また保存樹木ヒイラギの老木があり棘のない葉を付けている。

 見沼代用水東縁を渡り、見沼たんぼの南東の端にある川口自然公園に着く。園内には落葉樹が多くまだ葉が出ておらず陽射しが地面を多く照らしている。池では釣りを楽しんでいる人々がおり、獲物はたぶんヘラブナのはずである。園内の湿地帯の木道の辺りにツクシを期待していたが、あまり出てはいなかった。園内にはめずらしいヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)があり、花は5月頃白い花を咲かせるがまだ葉も出てない。また、コブシの大木が多くあり良く咲いている。

 見沼代用水東縁に沿って歩く。西側は畑が広がり、また調節池が現在建設中である。東側は斜面林が続いている。用水に沿った道には、咲き始めた桜並木や満開のモモ、さらにボケやトサミズキの花を見ることができる。また、土手にはヒメオドリコソウの群れを眺めながらさらに進んでいると武蔵野線の電車が通り過ぎて行く。さらに行くと木曾呂の富士塚に着く。代用水側からキジバトが巣の材料をくわえて茂みに入るのが見られた。

 この富士塚は、見沼代用水東縁と通船堀の連結点の縁に、江戸時代の寛政12年に築造されたもので、塚全体が盛り土で築かれており、頂上にはお鉢めぐりができるように火口が掘ってある。また今日では入り口が埋没しているが、塚を貫いて胎内くぐりの穴を設けてあるそうである。国指定有形民俗文化財となっている。この富士塚は、埼玉県下では最も古く庶民信仰の様相を示すものとして貴重である。参加者は急な塚の石段を登りお鉢めぐりをして、少しばかり歴史的な雰囲気にひたる。

 次に、国指定跡となっている見沼通船掘に移動するが、ここは江戸中期に築造された閘門式運河であり、同じ原理のパナマ運河(1914年)より183年前に建設されたものである。平成6年から4年間の整備事業で、東縁1・2の関、西縁1の関などが復元されている。堀の周囲には咲き始めた桜並木があり、枝には蜜を求めてヒヨドリやメジロが来ている。

 東縁の先は芝川があるが、通船掘を利用して運ばれる物資はこの川より江戸へと運ばれ、また江戸から逆のコースを辿って物資が運ばれる所であった。川には、カルガモ、コガモ、オオバンがおり、八丁橋の下では大きな鯉が群れていた。橋の東側に水神社がある。説明板によれば、通船掘が開通した翌年享保17年創建と伝えられ、現在の本殿は大正14年再建されたもの。通船掘を活用して江戸に米を運び、帰りに肥料・塩・酒などを運んでおり、これら河川輸送をした人達が水難防止を祈願して祭った、としている。

 次に、見沼通船掘の船割り業務を担っていた鈴木家住宅に立ち寄る。ここには1/2の縮尺に復元された平底の船や整備された鈴木家住宅付属建物を見ることができる。鈴木家の前の交通量の多い赤山街道を少し歩いて西縁側の通船堀に戻る。ここは大きな木からの木漏れ日がある堀の斜面にショカツサイの紫色の花が群れているのを見て、さらに堀の南側孟宗竹林の道を通って最終地点の見沼通船堀公園に到着したが、これで江戸中期の将軍吉宗が行った幕府財政立直しの一端を示す見沼たんぼ開発事業の一部を春の一日自然観察を兼ねて辿ったことになる。ここで解散となり、予定よりやや多く時間を要したけれども、好天に恵まれまた参加者の協力を得て自然観察ハイキングを無事終了することができた。

                              (くらぶ会員:若野忠男)

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第11回 自然観察ハイキング

平成14年11月2日(土) 

里山の自然と人間との関係を探る 

 見沼の里山の自然は、見沼田圃と共に農家の人達が長い年月をかけ守り育ててきた歴史を物語る自然であるとも言えるでしょう。その豊かな自然も戦後になると急速に失われてしまい残念なことです。それでも今回の自然観察ハイキングコースには、見沼の里山の自然を訪ねる上でなかなか良い場所が多くあります。今回は見沼の歴史を物語る里山の自然と人間との関係という側面からレポートしたいと思います。

 さて、11月2日は立冬を前にし木枯し一番の寒い朝となりましたが天気は良く、参加者39名は背も丸めず元気良く見沼自然公園に集まりました。「ケヤキの葉も色づいたね」「サギのコロニーはどこにあったの?」「公園の入口の所にタンポポが咲いていた」等の会話の中、受付と出発のセレモニーも終え6班に分かれてスタートしました。

 この公園は合併前の旧浦和市が市政60年を記念して10年程前に湿地等を埋め立てて作ったものです。10年もすると大分落ち着いた感じになるものです。樹林地ではクヌギ、コナラ、シラカシ、スダジイの実(ドングリ)が歩く先々に落ちており、ドングリを拾う人、スダジイの実ならと試食する人、皆さん楽しそうな観察会の始まりとなりました。

 ガマズミの実を口にし、モズやヒヨドリの鳴き声を聞くと晩秋の到来を感じます。この公園にはスギ、ラクウショウ、メタセコイアという日・米・中三ヶ国の杉の仲間があります。杉の仲間は風媒花なので花粉が風に舞います。スギは優れた伝統的な建材なのですが、今では花粉症の張本人として有名になりスギの評価も変わってきました。

 湿地ではヤノネグサ、コブナグサ、ヒメジソが草もみじの時を迎え、スズメウリは葉を枯らし始めています。その中に、セイタカアワダチソウも混じっています。花は終わりかけていますが、この花は虫媒花なので花粉は風に舞いません。なのに花粉症の犯人の汚名を着せられて運の悪い植物です。アメリカのアラバマ州では州花になっていると教わりました。人間の植物に対する見方がこんなにも違うのかと思わせる例です。

 公園を出ると見沼代用水東縁に出ます。見沼代用水は見沼の代表的な史跡なのですが、今の見沼代用水はごく一部を除き、東縁にも西縁にも歴史を感じさせる姿はどこにもありません。昭和53〜63年の改修工事で三面コンクリート、フェンス囲いとなり動物も植物も、人間さえもが水辺に近づけなくなりました。昆虫や小魚の棲めない水辺には水鳥も通わなくなりました。更に周囲の土が乾燥し、帰化植物の目立つ単調な野草構成になっています。見沼の自然環境は見沼代用水があったからこそで、これからの見沼の自然環境づくりには見沼代用水の自然環境を再生させる工夫と努力が必要となるでしょう。

 さぎ山記念公園の斜面林に登ると、急に山に入った感じになります。ここは野田のさぎ山のあった所です。見沼田圃と共に栄え250年も続いたこと自体が奇跡と言われたサギのコロニーがあった場所です。戦後に米の豊作を支えた農薬(水銀系殺虫剤など)の大量使用、農地や雑木林の宅地化、減反政策による水田の減少などがサギの棲む自然環境を奪ってしまい、とうとう30年前にコロニーは消滅し現在に至っています。これは戦後の見沼を象徴する悲しい出来事です。

 この斜面林を抜けると晩秋の佇まいを見せる畑に出ます。畑は深井家の屋敷林へと続きますが、畑の縁や道沿いに多くの柿木がたわわに実をつけていて正に里の秋の風景です。今ではこのような風景は珍しくなりました。この柿は柿渋を採る為のものでとても食用にはなりません。この柿渋は江戸時代から大正にかけ紙・布・魚網・木塀の防腐耐水剤として、酒や醤油の清澄剤として欠かせなかったそうです。柿渋を作るのには見沼の水が合っていて作られた柿渋は赤山渋として評判が良く、見沼代用水の舟便で出荷されたそうです。また、柿渋をめぐって村人の間にもめ事があった時には深井家の御先祖が名主として仲裁に入ったこともあるそうです。深井家の屋敷林には、樹齢数百年と思ぼしきケヤキ、シラカシ、アカガシ、カヤノキがあります。ここにもサギが棲んでいたと聞いています。この日は、幸いにもカヤノキの梢に舞い止まる2羽の大きなアオサギを見る事が出来ました。

 さて、深井家を後に見沼代用水と加田屋川を渡り、片柳新田を横切り萬年寺、井上家住宅への道を辿ります。途中の畑の縁には春の花のホトケノザ、ハナイバナ、オオジシバリが咲いています。これを狂い咲きと呼ぶことがありますが、条件が合えば咲くという野草の適応力の強さを表しています。加田屋川は自然護岸で芝川と同じように見沼では欠かせない存在です。ここでは、川巾が狭く、深く切れ込み流れも早いのでサギが降り立つのは難しそうです。加田屋新田の方とは様子が違います。締切橋のあるバス通りを境に、こちらは土地全体が低くなっていて、この地形が昔見沼の谷と呼ばれていた理由なのかも知れません。

 萬年寺、井上家住宅の史跡を訪ねた後、道を変え再び片柳新田に出、片柳の斜面林沿いに道を北上し旧坂東家住宅を目指しますがその途中にこの斜面林も訪ねました。この斜面林は規模、樹種からして大変素晴らしい雑木林です。この雑木林は大宮台地の東端に位置し、染谷の雑木林や先ほどの野田の斜面林、屋敷林と一体になって見沼で最も緑深い自然環境を形成しています。見沼の緑の宝庫とも言われる所で大切に保全してゆきたい一帯です。特別な保全案が考慮されても良いような気がします。

 ところで、この片柳の雑木林も例にもれず荒れています。林の中の稲荷神社も荒れており、しばらくの間手入れされていない様子です。下草を刈り風通しの良い明るい林となれば本当に素晴らしい雑木林となるでしょう。片柳にはフクロウが棲んでいると聞いたことがあります。フクロウが喜ぶような雑木林になる事を期待したいものです。

 雑木林を出ると大宮共立病院へ通じる道となり旧坂東家住宅は目と鼻の先です。病院の敷地に入る前に、近くのケヤキの植林地を覗いたらメナモミ、ナギナタコウジュが見られました。このケヤキは街路樹用に、枝が横に張らないように改良されたものと聞きます。この地に幼樹を移植した時にナギナタコウジュとメナモミが持ち込まれたものでしょう。それにしてもこのケヤキがどんどん伸びてポプラみたいになるのでしょうか?もしそうなら、毎年伸びた枝を切ることになるでしょう。鳥も止まり難そうな枝ぶりのケヤキを作る発想はどこから来たのでしょうか?些細なことから、自然が変えられる姿をも観察して旧坂東家住宅に到着し今回の自然観察ハイキングを終えました。皆様ご苦労様でした。 

(自然観察さいたまフレンド運営委員:小林正治)

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第10回 自然観察ハイキング

平成14年10月6日(日)

見沼田んぼ北東部の加田屋新田を歩く

 自然観察さいたまフレンドが10月1日に自然観察指導員6名で事前調査を行い、当日は6班編成を予定しましたが、参加者が31名でしたので、3班編成に縮小しました。自然観察指導員は当日さらに3名増えましたので、各班に3名の配置となり、マンツーマンで行き届いた自然解説が出来まして、参加者から大変感謝されました。

 当日、出現の動物と開花中の野草は次の通りです。         

(理事:小野 達二)

  【出現の動物】

 鳥 アオサギ、カルガモ
 蝶 アゲハチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、アカタテハ、キタテハ、イチモンジセセリ、ヤマトシジミ
 蜻蛉 アジアイトトンボ、ノシメトンボ
 蜘蛛 オニグモ、ジョロウグモ
 バッタ コバネイナゴ
 蛙 ニホンアマガエル
 魚 モツゴ(クチボソ)

 

   【開花中の野草】                            (  は帰化植物)
番号 種  名 科 名 番号 種  名 科 名
1 アキノウナギツカミ タデ 25 カゼクサ イネ
2 アキノエノコログサ イネ 26 カタバミ カタバミ
3 アキノノゲシ キク 27 カナムグラ クワ
4 アキノハハコグサ キク 28 カヤツリグサ カヤツリグサ
5 アセガヤツリ カヤツリグサ 29 カントウヨメナ キク
6 アメリカイヌホウズキ ナス 30 キツネノマゴ キツネノマゴ
7 アメリカセンダングサ キク 31 キンエノコロ イネ
8 イグサ 32 キンガヤツリ カヤツリグサ
9 イシミカワ タデ 33 クワクサ クワ
10 イヌタデ タデ 34 ケイヌビエ イネ
11 イヌビエ イネ 35 コゴメガヤツリ カヤツリグサ
12 イボクサ ツユクサ 36 コセンタングサ キク
13 ウシハコベ ナデシコ 37 コツブキンエノコロ イネ
14 ウラジロチチコグサ キク 38 コナギ ミズアオイ
15 エノコログサ イネ 39 コブナグサ イネ
16 オオアレチノギク キク 40 サクラタデ タデ
17 オオイヌタデ タデ 41 シマスズメノヒエ イネ
18 オオクサキビ イネ 42 シロノセンダングサ キク
19 オオジシバリ キク 43 スカシタゴボウ アブラナ
20 オオバコ オオバコ 44 ススキ イネ
21 オオベニタデ タデ 45 セイタカアワダチソウ キク
22 オギ イネ 46 セイバンモロコシ イネ
23 オッタチカタバミ カタバミ 47 セイヨウタンポポ キク
24 オヒシバ イネ 48 タウコギ キク
番号 種名 科名 番号 種名 科名
49 タカサブロウ キク 68 ハナタデ タデ
50 タカアザミ キク 69 ヒガンバナ ヒガンバナ
51 タマガヤツリ カヤツリグサ 70 ヒデリコ カヤツリグサ
52 ダンドボロギク キク 71 ヒナタイノコズチ ヒユ
53 チカラシバ イネ 72 ヒメクグ カヤツリグサ
54 チチコグサモドキ キク 73 ヒメジソ シソ
55 ツユクサ ツユクサ 74 ヒメジョオン キク
56 テンツキ カヤツリグサ 75 ヒメムカシヨモギ キク
57 トキワハゼ ゴマノハグサ 76 ベニバナボロギク キク
58 トダシバ イネ 77 ホウキギク キク
59 ナキリスゲ カヤツリグサ 78 ホソアオゲイトウ ヒユ
60 ナズナ アブラナ 79 メヒシバ イネ
61 ヌカキビ イネ 80 ヤナギタデ タデ
62 ヌマガヤツリ カヤツリグサ 81 ヤブガラシ ブドウ
63 ノゲシ キク 82 ヤブマメ マメ
64 ノダケ セリ 83 ヤマハッカ シソ
65 ノボロギク キク 84 ヨウシュヤマゴボウ ヤマゴボウ
66 ハキダメギク キク 85 ヨシ イネ
67 ハッカ シソ 86 ヨモギ キク

 

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第9回 自然観察ハイキング

平成14年4月20日(土)

見沼通船堀から浦和くらしの博物館民家園へ

 今回も私が会長を務める自然観察さいたまフレンドの自然観察指導員7名で企画・指導に当たりました。4月16日に事前調査を行い、歩くコースと観察ポイントを定め、4月20日の本番に備えました。

 当日は、見沼通船堀公園で見沼たんぼくらぶ総会が開催されましたが、その後に、休憩を挟んで自然観察ハイキングを行いました。参加者は、見沼たんぼくらぶ会員31名(内指導員7名・事務局1名)と会員外49名(内子ども2名)で、総勢80名でした。コースは見沼通船堀公園…八丁橋…見沼代用水東縁…川口市自然公園…東沼神社…浦和くらしの博物館民家園です。主として野に咲く春の花を観察しました。開花中の自生の野草は50種で、そのうち帰化植物が16種もありました。舗装道路際は、土壌の乾燥化とアルカリ化により、在来種が育ち難くなり、セイヨウタンポポやハルジオン、イヌムギ、オランダミミナグサなどがはびこっていました。斜面林の裾は、弱酸性で保水力のある昔ながらの土壌が健在でカントウタンポポやミミナグサ、タチツボスミレなどが咲き誇っていました。

(理事:小野 達二)

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第8回 自然観察ハイキング

平成14年3月23日(土)  

川口・鳩ヶ谷の見沼代用水東縁を歩く

 今回は「川口・鳩ヶ谷の見沼代用水東縁を歩く」ことにした。午前830 川口グリーンセンター前に集合受付後、3班に分かれ、見沼代用水東縁を通り、法性寺、桜町湧水公園までの約2.5㎞の自然観察ハイキングを行った。参加者は、リーダー8名、会員10名に会員外の人を含めて、総勢36名であった。

 今年はサクラの開花が早く、見沼代用水東縁の歩道は、ソメイヨシノが満開であったので、ヒヨドリがあちらこちらで花の蜜を吸っていた。両側の並木が、ソメイヨシノからクスノキ、ヤマモモ、アキニレ、ハンテンボク、ケヤキ、トチノキと各ブロック毎に移り行く楽しさを味わいながら、下草の観察もした。オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、カラスノエンドウ、オオアラセイトウ、ニワウメ、ヤマブキ、ヒュウガミズキ、カリン、マロニエ等の花が咲いており、川面には、カルガモ、ハクセキレイが気持良さそうに遊んでいた。法性寺に着くと、裏山の墓地には、スダジイやシラカシがこんもりと茂り、シダレザクラ、トキワマンサク、ウノハナが咲き、クスノキの大木が、この寺の古さを物語っていた。その後、桜町湧水公園に行った。この地が谷津であるため、池が点在しており、今でも湧水があるようだ。ここで、斜面林の様子を全員で観察した後、解散した。スタート時は、小雨まじりであったが、途中雨もやみ、全行程、車にも邪魔されず、ゆっくり早春の花と緑を観察することが出来、楽しい一日であった。               (文 運営委員:長澤 義則)

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第7回 自然観察ハイキング

平成13年11月3日(土)

    浦和博物館から氷川女体神社、氷川公園、

    浦和くらしの博物館民家園へ  

 文化の日の朝、集合場所のさいたま市立浦和博物館前に参加したのは、指導員をあわせて40名、4班に分かれて出発しました。浦和博物館隣接のさいたま市立病院前を通り、色付いた庭木や草花を見ながらしばらく住宅地を歩くと清水橋に着きました。

 ここからは、見沼代用水西縁に沿って進みます。桜の並木は葉も色付き落葉も始まっています。用水に沿ってコセンダングサ、イヌタデ、ミゾソバ、キツネノマゴ、カラスノゴマ、シャクチリソバ、セイダカアワダチソウ、ノゲシ、カントウヨメナなどの花が迎えてくれます。あまり見かけないカナムグラの雌株が数多くあり、その実を観察することができました。途中、クルミの木が桜に沿って並木のように植えてありました。クルミの実は、近所の人々に拾われたのでしょうか、残念ながらほとんど落ちていませんでした。

 用水にかかる船戸橋を渡り次の目的地である氷川女体神社に向かいます。橋を渡ると、右側に雑木林、左側に竹林が続く。放置されて、鬱蒼とした木々の中の緩やかな坂道を通ります。ビナンカズラが木にからみ、シラカシ、ムクノキの実が道端に落ちています。そこを抜けると大きな長屋門が右手に現れます。この周囲には、ナンテンが赤い実をつけ、見事なイヌツゲ、ゴヨウマツ、オンコなどがありましたが、手入れ不足が気になります。

 ニワウルシ(神樹)並木がある大通りを渡ると、氷川女体神社社叢ふるさとの森です。クスノキ、タブノキの大木が目に付きます。その他にもサカキ、シロダモ、シラカシ、スダジイ、モチノキ、ネズミモチ、ヒサカキ、チョウジカズラなどの樹木が茂っています。これらの鬱蒼とした樹木に囲まれた本殿には、武蔵国一宮の額が掲げられており歴史を感じます。

 丁度、七五三に訪れた家族がおり、グッと華やいだ雰囲気となっていました。社前に居られた神職の方から神社の説明を受ける機会を得ることができました。この神社は、江戸時代の徳川吉宗の時に行われた見沼の新田開発にも深い関係があり、見沼干拓後に始まる磐船祭祭祀場の遺跡もあります。

 隣接する見沼氷川公園で、神社の神主家出身である武笠三作詞の唱歌「案山子」を記念した案山子の銅像を見た後、見沼代用水西縁に沿って少し戻る形で、芝川にかかる見沼大橋を渡り、途中、国昌寺を見ながら東縁を進みます。太子堂の近くで東縁を離れます。クコ、クサギ、ニシキギ、ウメモドキ、ツルウメモドキ、カラスウリなどの実が色付き、また、庭先や畑には柿・蜜柑・カリンが実っていました。太子堂の鰐口は浦和地区最古のものです。この辺りは庭木栽培農家が多いようです。あまり見かけることもないチリマツ、ダンチクがありました。  

 次の目的地の日本武尊の故事に由来する木傘神社に寄り、再び東縁に出て、見沼ヘルシーランド横の桂の並木を通り、終点の浦和くらしの博物館民家園に13時前に到着し解散しました。天気は曇り、風はほとんど無く、まずまずの観察日和となりました。参加者は、指導員の説明に熱心にメモを取るなど、のどかな晩秋の見沼たんぼの風景の中、穏やかで有意義な自然観察ハイキングだったと思います。

(春日部市  若野 忠男)

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第6回 自然観察ハイキング   

平成13年9月8日(土)

見沼たんぼに秋を見つけて!  

 台風1516号が日本列島の関東地方に接近しそうだ、という予報が出されている9月8日、雲の流れが速く台風独特の空模様ながら、雲間から太陽光線が地上を照らしている。

 誰が晴れ女か、晴れ男か知らないが、嬉しい限りである。でも、用心するに越したことはないと、雨具の用意をして、集合場所の大宮公園駅に降り立った。

 すでに多くの人が集まっている。小野会長さんの話では、東武鉄道さんが大変協力してくださったとのこと。沿線各駅にパンフレットを置いて、今日の観察会をPRしてくださったり、駅前に出された受付用の長机も駅で用意してくださったとのこと。まず感謝!

 今日の観察会は案内役として、大宮フレンドの会員の中から十数名が中心となり、総勢101名の大行列が動きはじめた。とは言っても、十名から十数名が班ごとにまとまっての移動なので道行く人や車の邪魔にはならず、楽しい見学会が始まった。

 寿能城跡を見学してほどなく、広い広い見沼たんぼに出た。一面の稲が黄金色に輝き、ずっしりと重くなった稲穂を垂れて、刈り入れを待っている。まさしく秋。実り豊かな秋を満喫。

 水のなくなった畦道の水路には、無数の鳥の足跡と共に、つめ型の鍬で土を掘り返した跡があり、疎開した田舎で、大川や水路で水落としのあと「かいぼり」や土起こしをして小魚やどじょうを捕った小さい子どもの頃の苦しくも懐かしい思い出が、走馬灯のように脳裏を貫いて走り貫け、同時に現代の平和を至福の思いで味わうことができた。これも、自然観察会ならではの贅沢ではないでしょうか。参加された人々それぞれに、楽しい思い出を胸に、自分だけの秋を見つけたことと思います。皆さんの楽しげな顔に接し、本日いくばくかのお手伝いが出来たことに満足を感じながら家路に着いた。

(会員 小原 邦彦)

■ 第6回 自然観察ハイキング ミニレポート ■

天気の良い日・時間がある日などは自転車で探訪し、写真を撮ってまわっています。今回初めて自然観察ハイキングに参加をし、思いがけず3時間半の散策に足を痛めていましたが、本当に楽しい時間となりました。

最近「寿能城跡」「大和田の東西の松」などを新たに発見し、自転車での探訪距離がのびるばかりです。 またハイキングがありましたら、参加をしたいと思っています。 

                                (会員 藤田澄江)  

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第5回 自然観察ハイキング  

平成13年5月26日(土)

染谷ふるさとの緑の景観地&加田屋新田を見て歩く

   もしかしたら雨が降ってくるのではと思わせる空模様、湿気が多く歩くと汗ばんできそうな感じの5月26日()朝9時前、“見沼の自然と史跡を訪ねて”をテーマとした≪自然観察ハイキング≫に参加するメンバー 47名(内8名自然観察大宮フレンド指導員、東京北区、板橋区からの参加者もあり)が「思い出の里」正門前(さいたま市大谷)に集合した。

 小野見沼たんぼくらぶ理事・自然観察大宮フレンド会長の挨拶の後、指導員の紹介、諸注意があり、5班に分かれて出発。

 思い出の里を左手に緩やかな坂を登り出す。ガマミズが白い花をつけ、マユミが最後の花をわずかに残している。江戸時代、片柳に14軒あった寺子屋のうちの1軒、安田家の門脇に師の徳を偲んで建立された石碑(筆塚)を見る。

 道をやや進んだ左側、氷川神社の境内に入る。サカキの代用で使用されているヒサカキは当然あるが、関東地区には少ない本当のサカキが高木の下の太陽が余り当たらない所に静かに1本。足元のアズマネザサの中にフタリシズカを発見、タラノキが数本、近づくなと言わんばかりに刺をつけている。雑木林の代表樹木のコナラが数本、太く育ってしまっている。

 思い出の里の裏口に向かう坂の側溝に1.5cmくらいの黒茶色の小さな蛙が数匹、全く水もないのに飛び跳ねている。何と言う蛙だろうか? 手入れが廻らないのであろうモウソウ竹林の今年の竹は竹林の外側に数本のみ、竹林の中にはもう育つ余地がないのかも知れない。

 やや下って、草原に入る。春の最後を語るかのように、夏を待つかのように、種々の野草が咲き誇っている。黄色いニガナ、オオジシバリ、セイヨウタンポポ、オニノゲシ、クサノオウ、ピンクのカラスノエンドウ、アメリカフウロ、やや紫のキツネアザミ、真っ赤なヘビイチゴの実、白いヒメジョオン、それに私は初めて見たキキョウソウ。メンバーの一人がスズメノテッポウで笛を作ってピー!と鳴らす。カラスノエンドウでも豆を取り除いて器用に鳴らす。みんなで試してみたがなかなかうまくいかない。

 思い出の里の裏地の遊水地に行って見る。数日前に下見した時は入れたが、今回はぬかるんでいるので断念。遠くからチガヤやヒエガエリを観察。

 田植の始まった見沼田圃を左右に見ながら加田屋川に向かう。田に入れるために側溝の水は勢い良く流れている。1m以上あるアオダイショウが1匹、にょろにょろと進んで水の中へ、見事な泳ぎで姿を消して行った。見沼代用水東縁には、見事なノアザミがふくよかに花をつけ、我々を歓迎しているかの様。黄色い花をつけ、茎に小さな刺を持ったコウゾリナも数本。

 加田屋川縁には、ヨシやネズミムギに混じって、ギシギシ、カキネガラシが肩をいからしている。この辺りでは、ヒバリが空高く飛び、オオヨシキリが盛んに鳴いている。姿も見え隠れし、キジ、コジュケイは姿は見つけられなかったが、声だけで我慢。セッカとカワラヒワは一羽づつ確認。加田屋川では、50cm以上あろう黒い鯉の群れの“のっこみ”を2〜3ヵ所で見ることができた。正に産卵の季節だ。

 立派に本堂を建て直し、明日、落成式を迎える西福寺で十二支を彫った石塔を見て、境内のイヌシデを確認し、思い出の里裏門を入る。フェンス脇に高いユリノキ、イボタノキを見て、芝生に下りて行く。パンジーの植込みの中にヒルガオが咲き、ケヤキが植えてある広い芝生の中に、埼玉県北足立地区には既に絶えていると思われていた、ホザキノミミカキグサ(湿地に生える多年草の食虫植物)を発見。ツンツンと数本。小野会長は「貴重な収穫だ。」とのこと。本来は湿地に生える植物がここにあるのは、この土は、湿地から運ばれてきたのであろうと推測される。絶やしたくないものだ。厳冬のエベレスト世界初の登頂に成功した加藤保男の墓の脇には黄色い花をつけたコメツブウマゴヤシの群落。

 解散地の正門に向かうためにヤマザクラ並木の下を行く。何と小さなサクランボが見事。口に含むと、甘酸っぱい味が口の中に広がっていく。近隣の農家で育った大根やキャベツの売店に数人のメンバーは買物も楽しむ。解散したのは12時半近く。歴史あり、爬虫類あり、笛あり、新発見ありの楽しい観察会であった。

             (自然観察大宮フレンド 三木 成起)

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第4回 自然観察ハイキング

平成13年3月20日(火)

大崎園芸植物園から国昌寺、見沼自然公園へ

 3月20日、春分の日、快晴、9時。 

 クリーンセンター大崎の正門内で「始めの集い」が開かれ、見沼たんぼくらぶの理事で今日の行事の元締めである小野さんから挨拶があった。見沼の来歴から大崎という地名の考察に触れ、ハイキングを兼ねた自然観察会のコースとポイントが明らかになる。

 さて、7班に分かれて代用水東縁左岸を大崎公園入口からスタート。早くも足元では、虚子が「…星のごとくに 咲きにけり」と詠んだオオイヌノフグリが歓迎を示し、ホトケノザやヒメオドリコソウも競って咲いていた。右上の斜面林にはスダジイの大木が鬱蒼と茂り、高枝にコイサギが一羽。下の植木畑には様々な苗木が行儀よく並び、中でも満開のサンシュが「ハルコガネバナ」の名に相応しく、ご婦人たちの歓声を誘う。

 休日で晴天ということもあり、「緑のヘルシーロード」は散策やサイクリングなど、それぞれの思いで春を楽しむ人々。加えて彼岸の中日、国昌寺周辺は墓参りの家族連れが春の花束を手に華やいでいた。国昌寺から回り道して竹林に入り、トラスト1号地に出る。手入れの行き届いたモウソウ竹の何というすがすがしさ。農家の西山の小さな墓地にはシキミの蕾がほころんで、過ぎし土葬の昔を物語っていた。

 再び東縁沿いに戻る。斜面の荒れた雑木林から、未だたどたどしいウグイスの囀りが聞こえ、目を移すと、菜の花畑の上空には、早々とヒバリが上がっていた。  

 終点の見沼自然公園の池辺に立つ。いろいろな鴨がもう伴侶を決めたらしく連れ立って泳いでいる。カルガモを除く鴨たちは、北国で子育てに入るため、やがて北帰行に旅立つ のだ。

                            (さいたま市 横溝 浩安)

 

   ミニ自然観察ハイキング 

平成13年4月21日(土)

  大宮第二公園から市民の森へ 

 当日は、冬に逆戻りしたような低温で、強風も吹きまくり、まさに春の嵐に見舞われました。大宮第二公園の遊水地で総会開催の後、22名が集まり、4班に分かれスタート。

 自然観察大宮フレンド所属の自然観察指導員、小野達二・谷山孝雄・長澤義則・若野美智子の4名が各班の自然解説ガイドを努めました。

 芝川では、やがて北に帰る冬鳥のコガモとずっと当地にいる留鳥のカルガモが仲良く泳いでいました。

 大和田緑地公園斜面林は、コナラ・クヌギ群集が新緑に萌え、新鮮な酸素をいっぱい吸い込み爽やかな気分になりました。そこは大宮みどり愛護会のボランティアで良く手入れされ、林床にはアマドコロやタチツボスミレが咲き乱れていました。

 それから、大和田陣屋跡に行くと、高さ3mの土塁が残され、屋敷の北西側はシラカシの密生する高生垣でした。 その近くにある大宮で一番高い所(海抜18.6m)の一等三角補点も訪ねました。   

ゴールは、市民の森。そこで班ごとに解散し、折から開催中の「大宮花と緑の祭典」の催物を各自で見て回りました。     

                   (見沼たんぼくらぶ理事・運営委員 小野 達二)

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  第3回  自然観察ハイキング

平成12年11月25日(土)

見沼通船堀から川口市自然公園〜念仏橋へ

 

 今年度3回目になる見沼たんぼくらぶの自然観察ハイキングは、見沼たんぼの最南端、浦和と川口の境地区を中心に行われた。

 当日は、高曇り、無風状態の絶好のハイキング日和に恵まれ、参加者も多く、総勢82名であった。東浦和駅に集合し、見沼通船堀公園で、自然観察大宮フレンド7名のリーダー紹介やコースの説明が行われた後、3班に分かれ、自然観察ハイキングが行われた。

 平成9年に全面改修された見沼通船堀を見学した後、かつて堀を差配していた鈴木家にある1/2の船模型(毎年9月に通船堀に浮かべている)や展示物を見せていただいた。その後、見沼通船堀の守り神である水神社を見学した。

 次に、見沼代用水東縁を歩き、川口市自然公園、東沼神社を経由して、浦和くらしの博物館・民家園までの約5kmを散策した。

 途中、オギとススキ、スタジイとマテバシイ、山茶花と椿、ノゲシとオニノゲシ等の違いや、鳥、虫、風等による種の散布方法の違い等を説明しながら歩いた。

 斜面林や民家の木々は、色とりどりに紅葉し、柿、クロガネモチ、ビナンカズラ、ユズ等の実がなり、山茶花、柊、ヤブ椿、チャノキ、菊等の花が咲き乱れ、ハクセキレイ、カワセミ、コサギ、コゲラ、シジュウカラ、メジロ、モズ、ムクドリ等の姿もあちこちに見られた。

 参加者から、「楽しい観察会でした。」との感想をいただき、主催者として、ほっと、胸をなでおろした。

次回の自然観察ハイキングの開催が平成13年3月20日(予定)をPRし、観察会を終了した。                          

                      (見沼たんぼくらぶ運営委員 長澤義則)

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回 自然観察ハイキング

平成12年826日(土)

大宮の見沼たんぼと斜面林を歩く

 今回は、芝川上流で、大宮市のほぼ中央にある大和田の斜面林と見沼たんぼ、休耕田の約5キロを歩いた。参加者総勢29名は、大宮市民の森に集合し、6班に分かれ、各班のリーダーは自然観察大宮フレンドのメンバーが務めた。当日の気温は35度を超える暑さであったが、全員無事故で、集合場所の市民の森に予定通り到着した。

  夏から秋に移行する時期なので、たくさんの種類の花や実、昆虫が見られ、楽しい1日となった。今回のコースは、大宮みどり愛護会が保全作業をしている鷲山橋緑地、大和田2丁目緑地を散策し、鷲神社、土塁のある大和田陣屋跡、一等三角点(海抜18.6m)を見たあと、関東ローム層が観察できる切通しや芝川と見沼代用水西縁の排水と用水の違い、斜面林の植生などを観察した。一面、稲穂が垂れる見沼たんぼでのバラエティーに富んだ自然観察ハイキングであった。

  特に印象に残ったのは、あちこちに色とりどりに咲き誇るサルスベリ、鷲山橋緑地のヤマハギ、コガマ、ミソハギの花、鷲神社のムクロジュ、サンゴジュの実、大和田陣屋跡付近のクサギ、ウコンの花、見沼代用水西縁にあったネムノキの花など。

 また、見沼たんぼでは、黄金色に色づいた稲穂に加え、オオイヌタデ、キンエノコロ、コゴメガヤツリ、ヒデリコがあり、コバネイナゴ、アキアカネ、ノシメトンボなどが飛び交い、一足早い秋の風情を味わうことができた。

 途中、香りのある花を嗅いで楽しんだり、ムクロジの実を手で揉んで泡立ててみたり、毒草や薬草、食べて美味しい野草の見分け方等を学びながら歩いた。芝川の河原には、カルガモ、ドバトが見られ、ゴイサギが飛んでいた。

 参加者からは、「大宮にこんな自然が残っていたとは驚いた」「暑かったけど、大変楽しく意義のある観察会であった」「また参加したい」等の感想がよせられた。

 参加者の皆さん、ご苦労様でした。                (長沢運営委員記)

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第1回  自然観察ハイキング

平成12年5月14日(日) 

Aコース〔加田屋・染谷方面〕

Bコース〔南部領辻・片柳東〕

 自然観察ハイキングは、総会終了後、見沼たんぼくらぶ小野理事が会長を務める自然観察大宮フレンドの企画・指導で、80名が参加し、Aコース6班、Bコース4班に分かれて見沼田圃の田舎道を散策しました。どちらのコースも、田んぼあり、斜面林あり、屋敷林あり、寺院ありで、農村型の豊かな自然に恵まれ、参加者から「ここが大宮?」「ここが浦和?」と驚きの声があがりました。

 一番印象に残った動植物は何かを参加者に尋ねたところ、キジのつがい、色鮮やかなノアザミの花、アマガエル(以上Aコース)、数の子そっくりのカズノコソウ、ミズキの白い花、さえずるヒバリ(以上Bコース)など、都会では見られない多くの動植物が答えとして返ってきました。

 第2回自然観察ハイキングも既に予定されています。まだ参加したことがない会員の皆さんも、見沼の自然を解説付きで散策できるこの企画に、是非ご参加ください。

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